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復活した「ALIENWARE Aurora」からVRへの取り組みまで。Alienwareの共同創業者が新製品とブランドのいまを語った
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印刷2016/07/28 00:00

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復活した「ALIENWARE Aurora」からVRへの取り組みまで。Alienwareの共同創業者が新製品とブランドのいまを語った

Frank Azor氏(Alienware and XPS General Manager,Dell)。
画像集 No.002のサムネイル画像 / 復活した「ALIENWARE Aurora」からVRへの取り組みまで。Alienwareの共同創業者が新製品とブランドのいまを語った
 2016年7月27日,Dellの日本法人であるデルは,東京・秋葉原にて,ゲーマー向けPCブランド「ALIENWARE」の概況と最新製品の説明会を開催した。

 説明を担当したのは,Alienware創業メンバーの1人で,現在はDellでALIENWAREとXPSの両部門でジェネラルマネージャーを務めるFrank Azor(フランク・エイゾール)氏だ。
 氏はオリジナルのAlienwareにとって4番めの社員で,残る3人のうち1人はDellによる買収前に退職し,残る2人は買収後に引退したとのこと。なので,「Dell傘下のAlienware」としては最古参のメンバーということになる。

 本稿では,Azor氏が説明したALIENWAREブランドの現状と,E3 2016で発表された2016年夏モデル新製品の概要についてレポートしたい。


創業20周年を迎えたALIENWARE


 まずAzor氏は,今年で創業20周年を迎えたAlienwareの歩みについて説明した。Azor氏らがオリジナルのAlienware(=Alienware Computer)を創業したのは1996年のことだが,それまでは「ゲーマー向けに特化して製造,販売されたPC」は市場に出回っておらず,Azor氏やその仲間は,PCゲームをプレイするためのPCについて,友人から相談を受けることが多かったのだそうだ。そこで,PCゲーマーがゲームに集中するためのPCを作る会社として,Alienwareを設立したのだという。

 2006年,Dellに買収された後も,ゲーマー向けに特化した独創的なPCを作り続けていることは,4Gamer読者もよく知っているとおり。Dellの傘下になってから,かれこれ10年以上,AlienwareはゲームPC専業の開発子会社として活動を続けているわけである。

Alienware 20年の歴史を示したスライド。10年前にDellに買収されたあとも,ゲームPCメーカーであり続けている
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 どこのゲームPCメーカーも同じではあるが,現在のAlienwareは,VR(仮想現実)分野への取り組みを強めているという。Azor氏によれば,Oculus VRとHTCの両社と協力し,「Rift」や「Vive」といったVR対応ヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)の動作認証を取得したり,VR HMDを最大200ドル安く買えるプロモーションを行ったりといった普及促進活動を行っているという。
 また,VR HMDを使ったアトラクションを提供する企業であるZero Latency VRと協力して,アトラクションで使うバックパック型PCを制作(関連記事)したり,それをより洗練させたモデルを開発したりという取り組みを進めているそうだ。

ALIENWAREによるVR分野への取り組みを示したスライド。製品では,VR対応可能なハイスペックPCや,ノートPC向け外付けグラフィックスボックスをリリース。VRアトラクション向けのPC内蔵バックパックを開発し,提供もしているとのこと。市販化を念頭に,より洗練されたデザインのバックパックPCも検討中という
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電源ユニットをスイングして外に出せるデスクトップPC

ALIENWARE Aurora R5を紹介


 そんなALIENWAREブランドの最新製品としてAzor氏が紹介したのが,新型デスクトップPCの「ALIENWARE Aurora R5」(以下,Aurora R5)だ。国内でもすでに販売中の製品である。

Aurora R5
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取り外し可能な左側面のパネルには,スリット状の大きな吸気孔がある(左)。写真は電源オフの状態なので光っていないが,放射状に広がる3本の線はカラーLEDで光る仕様だ。背面を見ると,電源ユニットが本体の中段あたり,マザーボードのI/Oインタフェースと同じ高さという,変わった場所にあるのが分かるだろう(右)
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Aurora R5の筐体における特徴。前面および左側面から吸気し,天面および背面に排気する
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 ミドルタワーサイズの新筐体を採用したAurora R5の特徴についてAzor氏は,「GeForce GTX 1080」の2-way SLI構成や,記憶容量32GBのメインメモリ,最大5台のストレージを内蔵可能なハイスペックと,フルタワー型PCケースに匹敵する放熱設計を挙げた。
 Aurora R5は,前面下部と側面の吸気孔から新鮮な空気を取り入れて,本体天面に広がった排気孔から排気する構造(※電源ユニットやグラフィックスカードは,背面にも排気する)になっている。

Aurora R5の天面。前側にはUSB 3.0 Type-Aが4ポート,3.5mmミニピンのヘッドフォン出力端子,マイク入力端子がある(左)。後ろ側には移動に使うハンドルもあるが(右),VR HMDを接続したときは,ここをHDMIやUSBといったケーブルの通り道として使うことで,ごちゃごちゃするのを避けられるという
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中身の詰まった筐体だが,内部へのアクセスにも工夫を凝らした設計になっている
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 中身がギッシリと詰まっているAurora R5だが,内部へのアクセスや拡張が容易な点も特徴とのことだ。Azor氏は,実際にデモ機の側面パネルを開け,スイングして筐体外に出せる電源ユニットの仕組みを披露してみせた。

 側面パネルはドライバー不要で取り外せるようになっており,しかも外すときにパネルが自重でどんと落ちてしまうのを防ぐ仕組み付き。
 内部へアクセスするには,マザーボードを覆うような電源ユニットをどかす必要があるのだが,この電源ユニットは,前側のヒンジを軸として横方向にスイングするアームで筐体に固定されているため,ドアのように手前へ引き出すことができる。
 アーム部分が開きすぎたり,作業中に閉じてしまうことがないように,最大に開いた状態ではアームにロックがかかるという,凝った仕組みまで用意されていた。

Azor氏が,筐体内へのアクセスを実演。従来のALIENWARE製デスクトップPCと同じように,側面パネル側のLEDを光らせる機構には電源ケーブルではなく特殊な接点を使っているため,「開けるときにケーブルを外す」なんていう手間は不要だ(左)。側面パネルを外したら,電源ユニットを横方向へスイングするように動かすと,マザーボード上から簡単に取り除ける(右)
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電源ユニットを外側に動かした状態(左)。ちなみに,電源ユニットの下側に見える金属製の足のようなものは,拡張カードのブラケットに被せて,カード類を固定する金具である。右はAurora R5の内部を覗き込んだところ。写真の機材はCPUに簡易液冷クーラーを取り付けているが,BTO次第では空冷クーラーを搭載することもある。ストレージは本体底面側に取り付ける仕様で,ここもドライバーなどを使うことなく着脱が可能だ
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 様々な新機軸を盛り込んだAurora R5のBTO標準構成価格は,12万9980〜28万9980円(税別,送料込み)。単純計算した税込価格は,14万378〜31万3178円となっている。

 またAzor氏は,E3 2016で発表したそのほかの製品も簡単に紹介した。そのうち,“巨大なおにぎり型”筐体を採用する「ALIENWARE Area-51 R2」は国内でもすでに販売されているが,ノートPC「ALIENWARE 13 R2」の有機ELパネル搭載モデルや,小型デスクトップPCの「ALIENWARE Alpha R2」は,今のところ国内では未発表となっている。これら未発表製品の詳細は,E3 2016での記事を参照してほしい。
 なお,ALIENWARE 13 R2の有機ELパネル搭載モデルは,いつ日本で購入できるようになるのかと問われたAzor氏は,「世界的に好評で供給が追いつかない状態が続いているが,2016年の11月頃には日本市場に投入する予定」と答えていた。有機ELパネル搭載のゲーマー向けノートPCが欲しい人は,もう少しの辛抱だ。

おにぎり型筐体のALIENWARE Area-51 R2。現行製品は,Broadwell-E世代のCore i7プロセッサやGeForce 10シリーズに対応したマイナーチェンジモデルだ
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ALIENWARE 13 R2の有機ELパネル搭載モデル。液晶パネルよりも速い1msの応答速度で,格闘ゲームに最適とAzor氏
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小型デスクトップPCのALIENWARE Alpha R2(左)。外付けグラフィックスボックスの「ALIENWARE Graphics Amplifier」(右)に対応して,VR HMDも利用できると謳う
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 なお,ノートPCのVR対応は,今後もALIENWARE Graphics Amplifierを中心にするのか,それとも内蔵型の単体GPUに移行するのかについて質問したところ,Azor氏は「現状ではノートPCでVRに対応できるGPUは1種類(※ノートPC向けのGeForce GTX 980)しかないので,外付けグラフィックスボックスのほうが適当である。しかし,今後は高性能でVRに対応するノートPC向けGPUが登場するだろうから,それを積極的に採用していきたい」と答えていた。


買収後も成長したAlienwareと消えてしまったブランドの差はどこに差はどこにあったのか


 説明会の最後に行われた質疑応答で,筆者は,大手PCメーカーに買収されたゲームPCブランド――たとえば,HPに買収されたVoodooPCのように――の多くが,結果的に消えてしまったなかで,なぜAlienwareだけが生き残ってこられたのかとAzor氏に質問してみた。その回答は以下のとおりだ。

画像集 No.023のサムネイル画像 / 復活した「ALIENWARE Aurora」からVRへの取り組みまで。Alienwareの共同創業者が新製品とブランドのいまを語った
 「Dellは(AlienwareとゲームPCに対する)理解があった。DellとAlienwareの経営陣は,買収してブランドを残すだけでなく,もっと積極的に発展させようという考えを共有していたのだ。
 それに対して消えてしまったブランドは,買収した側があまり投資をしなくなったり,経営側がゲーマー向けPCへの理解がなかったりして,結局は消滅することになってしまった。
 私はVoodooPCの元CEOと友人なのだが,彼は,なぜ買収後にうまくいかなかったかを発表している。公式ステートメントなので引用するが,『HP側とVoodooPC側の考え方が噛み合わず,VoodooPCの戦略や考え方に理解が得られなかった』そうだ。それによって,彼もCEOを辞めることになり,VoodooPCブランドも成功を収めることはできなかった」

 買収によって,カラーの違う企業のブランドを手に入れはしたものの,買収後にブランドの特徴を生かすことができず,結果として無駄に終わらせてしまうというのは,ゲーム業界のみならずよく耳にする話だ。そう考えると,Alienwareという特異な企業を買収しながら,その個性や特徴を殺すことなく成長させ続けているDellは,ブランドの価値を正しく理解しているといえそうだ。今後とも,ALIENWAREブランドの発展に期待したい。

デルのALIENWARE製品直販ページ


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