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[GDC 2009#32]BioWareの待望の続編「Mass Effect 2」も(ちょっとだけ)公開! 失敗作のないメーカーの制作パイプラインとは?
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印刷2009/03/28 21:51

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[GDC 2009#32]BioWareの待望の続編「Mass Effect 2」も(ちょっとだけ)公開! 失敗作のないメーカーの制作パイプラインとは?

BioWareで「Mass Effect 2」のリードデザイナーを務めるコリー・アンデュルロ氏(左)と,プロデューサーのダスティ・エヴァーマン氏
画像集#001のサムネイル/[GDC 2009#32]BioWareの待望の続編「Mass Effect 2」も(ちょっとだけ)公開! 失敗作のないメーカーの制作パイプラインとは?
 壮大なアクションと驚くほどのアニメーション技術で人気のアクションRPG「Mass Effect」で知られるBioWareは,もはやカナダだけでなく北米を代表する有能な開発チームとして誰もが認めるところだ。
 そのリードデザイナーCorey Andrulo(コリー・アンデュルロ)と,プロデューサーのDusty Everman(ダスティ・エヴァーマン)の両氏が,GDC09において「The Iterative Level Design: Process of BioWare’s Mass Effect 2」(イタレーション型レベルデザイン:Mass Effect 2の制作プロセス)という講義を行った。Mass Effectは,当初MicrosoftよりXbox 360向けに開発が行われ,その後BioWareがElectronic Artsに買収されたことから,PC版もリリースされている。期待の続編「Mass Effect 2」は2010年2月のリリースが発表されているが,講演開始前までの段階では,ロゴが公開されているのみであった。

画像集#002のサムネイル/[GDC 2009#32]BioWareの待望の続編「Mass Effect 2」も(ちょっとだけ)公開! 失敗作のないメーカーの制作パイプラインとは?

 「イタレーティブ」という言葉は,コンピュータ・サイエンスで多用される「反復」や「繰り返し」を意味する言葉である。ソフトウェア開発においては,「イタレーション」という一つのアプリケーションを小さなセクションに区切って開発していく,制作方法論のことを指している。イタレーションは一つ一つが綿密にレビューされ,その前後のバージョンと常時比較しながら,よりシステマチックに開発が進められるのだ。

画像集#003のサムネイル/[GDC 2009#32]BioWareの待望の続編「Mass Effect 2」も(ちょっとだけ)公開! 失敗作のないメーカーの制作パイプラインとは?
 BioWareは,この方法をゲームの開発,さらに厳密にはレベルデザインに利用しているというのが今回の議題であるのだが,面白いことにMass Effectの制作時には,北米では一般的なレベルデザインという概念は,ゲームデザイナーそのものの仕事という日本でよく見られるようなシステムになっており,レベルデザイナーの専門化は行われていなかったらしい。

 アンデュルロ氏によると,レベルデザイナーをゲームデザイン部門から分離させることで,早い時期からレベルごとにマイルストーンを組むことができるらしく,開発作業も効率化が図れると見ているのだ。「開発中のゲームは常にプレイヤブルであるのが理想的だ」とアンデュルロ氏は語る。

画像集#004のサムネイル/[GDC 2009#32]BioWareの待望の続編「Mass Effect 2」も(ちょっとだけ)公開! 失敗作のないメーカーの制作パイプラインとは?
 交代してマイクを取ったエヴァーマン氏は,BioWareでは,イタレーションとして小さく区切られたテラインのレベルデザインを,さらに六つのフェーズに分けて開発すると説明する。その六つとは,以下のとおりだ。


フェーズ0: Narrative Overview
まだ紙上の企画段階で,ストーリーのあらましやキャラクターの説明,ストーリーボードをまとめたもの
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フェーズ1: Narrative Playable
ボックス・ジオメトリを並べた,味気ない初期レベル。ただ,動き回るアクションを展開できるかどうかを確かめる。セリフは吹き出し風に文字で表現
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フェーズ2: White Box
即席のモデルで,まだジオメトリもボックス。楽しさが潜在的に含まれているかどうかを判断。セリフやカットシーンを固定
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フェーズ3: Orange Box
テクスチャの張られていないジオメトリと,コリジョンを挿入。本当に楽しいかどうかのふるいにかける。セリフから音声への作業を並行して進める
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フェーズ4: Hardning
“チューニング”の過程。テクスチャの挿入,照明効果のチェックを行う。モーション・キャプチャや音声の入ったカットシーンをテスト
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フェーズ5: Finaling
すべてを繋げた段階。ゲームとして面白く,問題なく進められるかどうかを確かめる
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 この6フェーズの説明を行った後,実際にMass Effect 2のレベルとカットシーン一つずつで,どのようにフェーズごとの進展が見られるのかが,ビデオ映像で紹介された。未完成なレベルのビデオ映像とはいえ,会場の観衆は息を呑むような雰囲気で観察。内容は,宇宙ステーションの倉庫のような場所で銃撃戦を繰り広げるマップと,飛ぶ車の中で二人のキャラクターが会話するカットシーン。夜のシーンだったが,周囲に別の飛ぶ車が飛び交う雰囲気は,映画「スターウォーズ エピソード2:クローンの攻撃」のコルサント星のシーンや,「マイノリティ・レポート」あたりを想像すれば良いだろう。

 また,BioWareではトヨタの生産方式として世界的にも有名になった「カイゼン」(改善/Kaizen)という概念も取り入れられているそうだ。イタレーションを担当するグループが何度も一つ一つのフェーズを見直しながら作業を進めていくだけでなく,社内のほかの人間にも見せることで,非開発者の一人一人が常に改善していこうという努力を続けることを奨励しているという。

画像集#005のサムネイル/[GDC 2009#32]BioWareの待望の続編「Mass Effect 2」も(ちょっとだけ)公開! 失敗作のないメーカーの制作パイプラインとは?

 BioWareは,あまり期日どおりにプロダクトをリリースするメーカーというイメージはないが,「BioWareに失敗作はない」と言われるほど,とにかくトリプルAタイトルを出し続けることで知られている。それは,プロダクションラインの効率化や,改善の意識が同社を覆っているからだろう。小規模グループごとに分かれて開発を続けるスクラム方式など,BioWareが業界に広めたプロダクションシステムは少なくなく,ほかのメーカーが真似をしたくなる様子から,いつしか「ゲーム業界のトヨタ」と呼ばれる存在になる可能性もあるかも知れない。
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