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印刷2009/02/25 10:30

インタビュー

「オンラインゲームという言葉はなくなる」 PlayStation Networkの国内戦略を指揮する正田純二氏インタビュー

プレイステーションのオフィシャルサイト
週刊トロ・ステーション
 国内のインターネット利用者数が約8811万人,人口に対する普及率69%(※)。このような数値を今さら挙げるまでもなく,近年,もはや欠かせないインフラの一つとなった「インターネット」をどのように活用していくかが,あらゆる産業/企業の課題になっている。

 なかでも,製品がデジタルデータで構成されているコンピュータゲーム産業は,インターネット,すなわちオンラインサービスに対して,最も積極的なアプローチを見せる業種の一つ。PCオンラインゲーム業界は言うに及ばず,ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下,SCE)がサービスする「PlayStation Network(以下,PSN)」任天堂「Wii Channel」,そしてマイクロソフト「Xbox LIVE」など,家庭用ゲーム機の市場においても,各社がしのぎを削っているのはご存じの通りだ。
 ゲーム産業がより世界規模の競争へと移りゆく今,マーケティングやパブリシティ,流通,そしてユーザーサービスなど,ビジネスの最適化/効率化を図るためにも,ゲーム業界では,ネットワーク戦略のさらなる充実が求められてきている。

 そうした状況のなか,プラットフォーマーとして,ゲーム産業の主要プレイヤーの一角を占めるSCEの,国内向けビジネスを担当するディビジョンカンパニーSCEジャパンのネットワークビジネス&サービス部のトップに,オンラインゲーム業界でその名が知られた正田純二氏が就任した。正田氏は,以前にElectronic Artsの日本法人の要職を務め,日本初の大規模MMORPGとなった「ウルティマ オンライン」の国内運営を動かしていた人物だ。オンラインゲーム,そしてオンラインサービスを黎明期から知る人物として,業界では知られている。
 現在の正田氏は,国内の「PlayStation Network」の運営をつかさどっているほか,ここ最近,積極的な活動が目立ってきた「PlayStation Home」(以下,PS Home)をワールドワイドで統括する立場。いうなれば,プレイステーション陣営のネットワーク戦略(国内)の舵取りを任された人物だといっても過言ではない。

 今回4Gamerでは,そんなプレイステーション陣営のキーマンである正田氏にインタビューを実施。今後のゲーム市場とネットワークビジネスの行方をどう読み,またどのような方向にPSNを導いていくつもりなのか,ゲームのダウンロード販売や追加コンテンツの現状,プロモーションムービー,体験版配信の効果,ゲームアーカイブスの売れ行きなど,いろいろな質問をぶつけてみた。

※「情報通信白書平成20年版」(総務省) 「インターネットの利用状況」より

週刊トロ・ステーション
週刊トロ・ステーション 週刊トロ・ステーション


4Gamer:
 まず始めに,正田さんがSCEに入社した経緯を教えてもらえますか?

ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン ネットワークビジネス&サービス部部長 正田純二氏
正田純二氏(以下,正田氏):
 私はここ数年,いくつかの企業で主にオンラインゲーム/オンラインサービスに関わる仕事に従事してきました。そうした流れの中で,SCEジャパンのプレジデントである,ショーン・レーデンから「ネットワークサービスをもっと充実させていきたい。一緒にやらないか」と誘われまして,それを受けたという形ですね。それで,PSN……とくに国内のリージョンの運営全般をやることになりました。

4Gamer:
 実際に現場を統括されるようになったのは,いつ頃からなのでしょう?

正田氏:
 昨年(2008年)の3月からです。

4Gamer:
 「ネットワークビジネス&サービス部部長」という肩書きのほかに,「Global Home推進部部長」という肩書きもありますが。

正田氏:
 PSNと簡単に言っても,そのサービスの内訳は,PlayStation Storeでのゲーム配信,システムアップデート,またLife with PlayStationなど多岐に渡るわけです。その一環として,PS Homeも私が取りまとめる形になっています。こちらは,国内に限らずワールドワイドなレベルでビジネスやサービスを推進する役目を担っています。
 PS Home自体は,私がSCEに入社する前から動いていたプロジェクトですし,また私が入社した時点である程度形になっていたものであるので,ゼロからプロジェクトを見るというよりは,PS Homeがよりよいサービスになるための潤滑油的な役割となります。

4Gamer:
 なるほど。いわゆるフィクサー(※編注:プロジェクトが円滑に進むように配慮/活動する人)というわけですね。


勢いを増しつつあるPlayStation Networkの今


先日,全世界での販売台数が累計5000万台を超えたと発表されたプレイステーション・ポータブル。写真は,3月から「PSP-3000」に加わる新色「CARNIVAL COLORS」だ
週刊トロ・ステーション
4Gamer:
 それでは,早速具体的な話をさせてもらいますが,先日のOGC 2009の講演で,PSNのアカウント数が国内190万(※編注:2月20日には200万アカウントを突破),ワールドワイドでその10倍というお話がありました。これは,「プレイステーション・ポータブル」(以下,PSP)も含めた数値になるのでしょうか? またその場合は,PLAYSTATION 3(以下,PS3)とPSPの割合,とくにPSP経由の登録者数はどの程度になるのでしょうか?

正田氏:
 ご指摘のとおり,この190万という数値には,PSP経由で登録されたアカウントも含まれています。ただ,PS3とPSP(PC)共通で利用できるアカウントですので,内訳については開示していません。

4Gamer:
 昨年(2008年)の10月に,PSPから直接アクセスできる「PlayStation Store」が開始されたわけですけど,その賑わいというか,反響はどれほどのものだったのかと思っています。同時期にサービスが開始された「まいにちいっしょ ポータブル」の影響もあったのだろうか,といったことです。

正田氏:
 そうですね。PSP経由のアカウントの正確な数字はお答えできませんが,一つの目安になるのが,先日発表させていただいた「アドホック・パーティ for PlayStation Portable」の18万という数値でしょうか。
 アドホック・パーティーは, PS3とPSPの両方を持っていないと利用できないサービスですし,さらにPSPでアドホック対応ゲームを利用している人が対象となっていますが,18万人を超える方に利用していただいている。これは,多くのユーザーの皆さまに我々のオンラインサービスを活用してもらっているという,一つの証明になるだろうと思っています。もちろん,「まいにちいっしょ ポータブル」の貢献も大きいでしょう。
 とはいえ,PS3とPSPのユーザーのどちらが多いかといえば,今はPS3経由のお客さんがやはりメインですね。

4Gamer:
 そういえば,2008年10月に行われた東京ゲームショーの講演では,日本国内のPSNのアカウント数は130万というお話でした。そして,現在は190万。つまり,半年も経たない間に60万もアカウントが増えた計算になります。

正田氏:
 ええ。確か100万アカウントを超えたのが,昨年の5月でしたから,そこから考えても,加速的にアカウントが増えつつあり,サービスが盛り上がりつつあるのを実感しています。

週刊トロ・ステーション 週刊トロ・ステーション
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2008年10月にサービスが開始されたPSP用の「PlayStation Store」と「まいにちいっしょ ポータブル」。どちらもPS3版と比べて遜色ない充実ぶりだ
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PSNが目指すもの。オンラインサービスはゲームビジネスをどう変えるのか


4Gamer:
 単刀直入にお聞きしますが,PSNのサービスとは,今後発売されるであろう新しいハードウェアだとか,そういうものをどの程度意識した取り組みなのでしょうか?
 例えば,PSPから直接アクセスができる「PlayStation Store」を見ていると,他社のサービスの例で申し訳ないのですけれど,「iTunes」などとどうしても比較してしまいます。PSP,あるいはその後継機などが,マルチメディア端末としてより戦略的な位置づけとなっていく可能性は,当然考えられているとは思うのですが。

正田氏:
 ハードウェアについて,私からお話しすることはありませんが,当然ながら,PSNというものが将来を見据えた,あるいは今後伸ばしていくべきサービスだという認識で日々取り組んでいます。

4Gamer:
 個人的には,ゲームアーカイブスのゲームをPSP内(正確には,メモリースティック内)にたくさんいれて持ち歩けるなどというのは,非常に便利で素晴らしいと思います。先ほど例に挙げたiTunesつながりで,想像の羽を羽ばたかせてしまいますが,PSNの充実が携帯ゲーム機のディスクレス化(※)を見据えたものなのだろうか(iPhone/ipodのような),などと思ってしまうのですが。

※UMD(Universal Media Disc)などを含めた「ディスク」を排除し,内蔵メモリ/HDDにゲームをダウンロードして遊ぶスタイル

正田氏:
 既存のパッケージビジネスが無くなり,急にディスクレス化してダウンロード販売一本でいきます,みたいな話とはちょっと違うかな? とは思っています。
 そもそも,我々の行っているゲームビジネスというものは,なにも我々だけで完結しているわけではありません。流通や販売店さんなども含め,多くのパートナーに支えられたものだと認識しています。ですので,そこは従来どおり重視しつつ,よりゲーム市場を伸ばしていく方向で,ダウンロード販売などに取り組んでいけたらと考えています。

4Gamer:
 ダウンロード販売に対する販売店や流通の反応はどんな感じですか? 正田さんはご存じかもしれませんが,ゲームのダウンロード販売というと,PCゲームの分野では割と早い段階で動きがあったじゃないですか。でも当時は,やっぱり流通や販売店さんの側があまりよい顔をしなかった……という記憶があります。

正田氏:
 もちろん,ダウンロード販売を行うということに対して全てポジティブに受けとめられているとは限りません。この販売スタイルを競合と考えておられる方もいらっしゃると思います。 ただ,少なくとも現時点では,パートナーの方々には前向きにご理解いただけていると考えています。と言うのも現状を見れば,やっぱりパッケージとして欲しいというユーザーは多くいらっしゃいますし,またリアルな物の特典付与などパッケージならではの良さもあると感じています。我々はそれぞれの販売手法の特長を活かして,ユーザーの方々にご提供していこうと考えております。

4Gamer:
 なるほど。

正田氏:
 我々が前向きにご理解頂いている,と捉えている理由としてもう一つあるのが,PSNのサービスが好評価を得ている点です。現在その最たる例としては,先ほどもお話した「アドホック・パーティー for PlayStation Portable」が挙げられるでしょう。
 アドホック・パーティー自体は無料で提供されているサービスなのですが,このサービスのおかげで,PSPをもっと楽しんで頂ける,PSPをもっと活用して頂ける,そしてその結果としてゲームの売り上げが上がる……という,よい流れを作れたのではないかと感じています。PS Homeでも同様の影響がPS3に対してあると思います。

4Gamer:
 アドホック・パーティーは素晴らしいサービスですよね。私もいくつかのタイトルで利用しましたが,「まさにこういうサービスが欲しかった」というプレイヤーの声が聞こえてきそうなほどです。
 これは興味本位で聞いてしまうのですけれど,アドホック・パーティーって,いつ頃から動き出したプロジェクトだったのですか?

正田氏:
 構想自体は結構前からあったのですが,本格的な立ち上げという意味では,2008年に入ってからですね。PSPとPS3を連動させた使い方の推進というのは前からテーマでありまして,ちょうどそのタイミングで「このサービスをやろう」という議論になったんです。

4Gamer:
 それではそんなに長い制作期間というわけではないのですね?

正田氏:
 そうですね。そんなに長くはかかってはいませんが,開発陣の努力もあり,多くのユーザーの方が満足頂けるサービスになったと思っています。

4Gamer:
 そうですか。

正田氏:
 プラットホームホルダーとして,よりゲームを快適に楽しめる,あるいはリッチに楽しめるインフラの整備は,今後も指向していきたいですね。

2008年10月にβ版が公開されたあとも定期的にアップデートを重ね,どんどん使いやすくなっているアドホック・パーティー。最近のアップデートで実装された「ゲームサーチ」は,遊びたいゲームのルームを簡単に探し出せる便利な機能だ
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月間ユニークユーザー70万人。PlayStation Storeの現状は?


4Gamer:
 そういえば,先日「ファイナルファンタジーXIII」のプロモーションムービーが公開されていましたけれど,あれの反響はどうだったのですか?

正田氏:
 一言でいうなら「もの凄かった」ですね。「さすがだな」と驚くばかりです。

4Gamer:
 凄いというのは,100万ダウンロード超えとかそういうレベルですか?

正田氏:
 我々は,各ゲームメーカー様のコンテンツをお預かりしている立場なので,具体的な数字はお話しできませんが,とにかく「凄い」の一言です。

4Gamer:
 ということは,おそらく相当なアクセス集中があったと思うのですが,「サーバーが飛んだ」みたいな話は聞かなかったですよね。個人的には,そこも「やっぱり,しっかりしてるなぁ」と素直に思いました。

最近伸びているダウンロードコンテンツは,実は「カスタムテーマ」なのだとか。携帯電話やPCの壁紙のように,PS3やPSPも日々使う機器として,「ライフスタイルの一部に溶け込ませたい」と正田氏は語る
週刊トロ・ステーション
正田氏:
 PSNは,これまでに約2年ほどの運用実績がありますし,また安定したインフラを用意していますから,そこは我々が自信を持っている部分ですね。

4Gamer:
 とはいっても,たいていのサービス/企業は,そんな「例外的なアクセス集中」に耐えるようなインフラを用意できないですからね……。PCオンラインゲーム界隈では,アクセスが集中してダウンロードできない,みたいな話も未だにありますし。

正田氏:
 そうですね。

4Gamer:
 正田さんといえば,以前は「ウルティマ オンライン」など,PCオンラインゲーム業界にも関わっていらしたわけですが,PCオンラインゲームと,PSNというコンシューマ機のサービス,この両方に関わってみて,何か「違い」のような部分は感じましたか?

正田氏:
 根本的な部分でいえば,そんなに大きな差はないと思っています。もちろん,PSNのほうがライト寄りなユーザーさんが多いかな?という認識はありますが,求められるものの差というか,そういうものの違いはあまりないと感じています。

4Gamer:
 セキュリティ周りの対応だとか,そのあたりで差を感じたりは? PCオンラインゲームですと,チートや不正対策は,必ずついて回る問題ですよね。

正田氏:
 そのあたりに関していえば,PSNは, セキュリティが比較的高く,こちらの監視が行き届きやすい側面はあると思います。まぁオンラインサービスである以上,アクセスアタックなどという問題がまったく不可能なわけではありませんが,現状はお客様に安心してもらえるサービスを提供できていると考えています。

4Gamer:
 なるほど。

正田氏:
 あと,これはPSNに限った話ではありませんが,オンラインサービスというのは,アクセスのログなども含めて,いろいろなものが明確に「数字で見える世界」ですよね。インタフェースをこう変えたらログイン率が上がっただとか,あのプロモーションは凄い効果があっただとか,ダイレクトに運営側が把握できる。

4Gamer:
 ええ,それは我々もWebサイトの運営を通して実感します。

正田氏:
 PlayStation StoreやPS Homeなどを含めて,今のPSNのサービス内容が「最高」だとは決して思いません。しかしだからこそ,そうした数値(結果)と睨めっこしながら,日々「よりよくしていこう」という努力を心がけています。

4Gamer:
 そういえば,PlayStation Storeを見ていて「これは面白いなぁ」と思ったのが,ゲームアーカイブスのゲーム紹介欄にある「当時の出来事」という部分です。ゲームの紹介をせずに,ゲームが発売されていた当時の出来事を紹介するという。こういうオンラインショップってほかで見たことがありません。

正田氏:
 ああ,あれは「ゲームアーカイブス命!」みたいな担当者がいるんですが(笑),彼女のアイディアなんですよね。これまでにPlayStation Storeのインタフェースも何度かリニューアルしたのですが,あーでもないこーでもないと,スタッフが凄く頑張って考えているんですよ。

2009年2月時点で270タイトル以上のタイトルが揃っている「ゲームアーカイブス」。面白いのは,ゲームの紹介欄にゲーム自体の説明ではなく,「当時の出来事」というゲームが発売された当時の事件/話題が掲載されているところだ。懐かしさや思い出に釣られて,ついついゲームを買ってしまうことも……
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コミュニティはコンテンツの消費の促進剤? PS Homeについて


4Gamer:
 話は変わりますけれど,昨年末に一般公開されたPS Homeの状況はどうでしょうか?
 
正田氏:
 いや,おかげさまで大変盛況ですよ。

4Gamer:
 国内だけで35万ユーザーでしたっけ。そのうちのアクティブ率なんかは……。

正田氏:
 すみませんが,アクティブユーザーの数値についても公開していません(苦笑)。

4Gamer:
 がっくり(笑)。

週刊トロ・ステーション
正田氏:
 ただ,以前4Gamerさんで掲載された記事でも書かれていましたが,PS Homeが「はじめてのオンラインコミュニケーション体験」だという方は,少なからずいらっしゃるという印象を受けています。

4Gamer:
 いずれにせよ,1か月そこそこで35万人のプレイヤーが参加したというのは,凄いことだと思うんですよね。PCオンラインゲームを含めても,そこまでの数値が出たサービスは何かあったかな……。

正田氏:
 それだけ注目をしてもらえるということは本当にありがたいと思いますし,コンテンツを追加させるなど,もっともっとサービスを充実させていかなくてはいけないなと感じています。
 PS Home内でいえば,ゲームスペースで遊べる「ボーリング」がいつも満員みたいな状況なんですけど,やっぱり「みんなで体験を共有する楽しさ」というのは,普遍的なものだと思います。

4Gamer:
 例えば,仮に「ストリートファイター IV」のラウンジが出来るとして,そこで毎日トッププレイヤーの対戦動画を配信する……みたいな形などは検討されているんですか?
 別に動画でもなんでもいいんですけど,そういうみんなで話題にできるコンテンツが中にあれば,それについてあーだこーだ話ができるし,ラウンジも盛り上がると思うのですが。

正田氏:
 いいですね,それ。あとで担当者に伝えておきます(笑)。
 PS Homeの今後の方向性に関して少しだけ言わせて頂ければ,「いろいろなチャレンジ」をしていきたいと考えています。

4Gamer:
 流石にガードが堅いですね(笑)。では,PS Home内での「コンテンツシェアリング」みたいな可能性はないのでしょうか? ゲームとは少し離れますけど,世界最大級のSNSであるMySpaceというサービスでは,自分のページで好きなアーティストの曲を流せたりするんです。それと同様に,自分のクラブハウス内でお気に入りの曲を流したい,あるいはPlayStation Storeで買った映画なんかを「みんなで見たい」とか。そういうコンテンツの消費スタイルっていうのも,ありなんじゃないかなと。

正田氏:
 現実の世界がそうであるように,コンテンツの消費とコミュニティというのは密接に関わっていると思うんです。ゲームにしても,一人で遊ぶのも面白いですが,友達や家族と遊ぶとまた違った楽しさがある。これは,お茶の間で家族と一緒にテレビを見るなどの楽しさと同じで,普通に認知されていると思うんです。
 であれば,オンラインというテクノロジーが一般化した以上,そこは普通に,それこそ「ライフスタイルの一部」として,オンラインを介して一緒に遊ぶというスタイルがもっと定着していっていいし,徐々にそうなりつつあると感じています。また一緒に遊べる,一緒に見られる……要するに「体験を共有できる」ことが,コンテンツに対するニーズを高める大きな要因になると考えています。

4Gamer:
 まぁただ,動画などになると,著作権周りなどでいろいろな課題もありますが。

正田氏:
 PSN(PS Homeを含む)というサービスは,例えば著作権侵害が行われた場合に,「いや,あれはお客さんが勝手にやっていることなんで,ウチは知りません」と言うような場ではないと考えています。ビジネスパートナーの権利や利益を損なってしまっては,そこはビジネスとしてうまくいきません。

4Gamer:
 分かります。

正田氏:
 ですから,我々のチャレンジというのは,そういう権利周りの課題なども含めたうえで「オンラインという要素を使って,どういうエンターテインメントを提供できるか」を考えていくことだと思います。

週刊トロ・ステーション 週刊トロ・ステーション


「オンラインゲームなんて言葉はなくなる」 正田氏の見るオンラインゲームの今後


4Gamer:
 ところで,PlayStation Storeで売られているゲームのダウンロードコンテンツの販売状況はどうなのですか?

正田氏:
 個々のタイトルに関しては,先ほども申しましたように,我々はコンテンツをお預かりしている立場ですので,我々が情報を開示するわけにいきません。ただ,各ゲームメーカー様が積極的に追加コンテンツを提供していらっしゃるという現状が,すべてを物語っていると思います。

4Gamer:
 それは「結構売れている」という意味ですか?
 PCオンラインゲーム界隈だと,アイテム課金だなんだという話が盛んなのですが,コンシューマゲーム機周りだと,あまり公開情報がないので,気になっているんです。

正田氏:
 ちょっと質問の趣旨からは外れてしまいますが,PCオンラインゲームってとくに,「オンラインゲーム」というものの定義付けを大上段に構え過ぎだと感じませんか?

4Gamer:
 といいますと?

正田氏:
 いや,先ほども少し申し上げましたが,オンラインに対応しているかどうかって,ゲームでは今や「当たり前」の要素じゃないですか。なのに,あえて「オンラインゲーム」と括らなきゃいけない理由ってあるのだろうかと。
 PCオンラインゲームの世界で言えば,昔は「MMORPG=オンラインゲーム」みたいな認識があったと思うんですが,最近はカジュアルゲームが増えてきたこともあり,そのへんはだいぶ変わってきたとはいえ,まだまだその流れをひきずっているように思えるんですよね。

4Gamer:
 オンラインゲームすなわち「みんなで遊べて」「チャットができて」みたいなイメージということですか?

正田氏:
 そう。「こういうものがオンラインゲームなんだ」っていう,何か固定観念みたいなものが出来ている。でも,私はそうじゃないと思うんです。例えば,基本はスタンドアローンのゲームであっても,ダウンロードコンテンツが配信されていれば,私はそれも立派なオンラインゲームだと思うんです。
 これは先ほどのPS Homeの話とも被りますが,要は,オンラインという要素/技術をどうエンターテインメントとして活用していくか,どうユーザーさんに便利なサービスとして活用していくかだけの話であって,例えばMMORPGは,そのスタイルの一つに過ぎないと思うんですよね。

4Gamer:
 それはおっしゃるとおりですね。

正田氏:
 だから,「これがオンラインゲームだ」と身構えるのではなくて,オンラインという要素をどう使うのが面白いだろう,どう利用させれば便利だろうって,広い視野で捉えるべきものだと考えています。そのため,月額課金モデルうんぬん,アイテム課金モデルうんぬん,みたいな型に嵌めたお話を聞くと,個人的には違和感を感じてしまうんですよ。

4Gamer:
 とてもよく分かります。

正田氏:
 昔は「3Dゲーム」って言葉があったじゃないですか。初代プレイステーションの時代前後が全盛期でしたかね? けど,今は誰も「3Dゲーム」なんて言葉は使いません。たぶん,あれと同じことだと思うんですよね。だって,今はもう「それが当たり前」なんですから。

4Gamer:
 なるほど。そういう意味ですと,「オンラインゲーム」という言葉自体も今後はなくなっていくと?

正田氏:
 オンラインという要素が今後さらに“当たり前”になっていったら,オンラインゲームなんて言葉はなくなるかもしれませんよね。

4Gamer:
 確かに今の時点でも,対戦可能なFPSを指して「オンラインゲーム」とは言わないですもんね。

正田氏:
 読者のみなさんには誤解しないでいただきたいのですが,私は何もMMORPGを否定しているわけではないんです。ただ,オンラインの要素を活用するにあたって,「いろいろなレベルがあってよい」といいたいだけなんですね。
 オンラインゲームというものを考えたときに,がっつりしたMMORPGみたいなものでもいいし,ダウンロードできるだけ,ランキングがあるだけでもいい。あるいはもっと何か,ユニークな使い方があれば,それはそれでよいと思います。

4Gamer:
 先日,SCEさんから発売された「Demon's Souls」は,少しユニークなオンライン機能を実装していましたね。チャットとかをするわけじゃないんだけど,自然な形でほかのプレイヤーとのつながりを感じられるという。あれも素直に面白いと感じたオンライン要素の使い方でした。

正田氏:
 いい例ですね。日本のゲーム開発者の方たちも,オンラインをどう使えば面白いのかを真剣に考えていますし,どんどんノウハウが溜まっているというか,面白い使い方が発明されていっていると思います。
 PSN,そして我々プラットフォーマーのミッションとしましては,「こういう使い方をしたい」「こういうのが面白いんじゃないか」という,メーカーさん,ユーザーさん双方にとっての「よりよいオンラインの使い方」に対応していくことだと考えています。

4Gamer:
 分かりました。
 本日はありがとうございました。

2月5日に発売されるや否や,全国のゲームショップで売り切れが続出したという「Demon's Souls」。一風変わったオンライン機能を実装している本作だが,なかでも「血痕システム」は,他のプレイヤーがやられたシーンを再生できる(リプレイ機能の一種だ)という,ユニークなもの。うまく活用することで,ダンジョンに張り巡らされた罠などを,事前に察知することができるのだ
週刊トロ・ステーション 週刊トロ・ステーション


 今回はかなり強引にお願いした取材なので,途中数字などの具体的に話になると,どうしても歯切れが悪いことになってしまったが,SCEという巨大プラットフォーマーのオンラインサービスの一翼を担う人物の考え方が聞けたことは収穫だった。
 プロデューサーのように表で活動することはあまりなかっただけに,読者のみなさんには馴染みが薄いかもしれないが,正田氏は,業界では非常に著名な人物だ。その氏が,実績と経験を引っさげてSCEの中枢部で仕切る以上,いままでのSCEとは違う“何か”が生まれてくるであろう。とりわけPS Homeについては,日本独自で何かが簡単に変更できるようなシステムではないことが容易に想像でき,それこそが氏の培ってきたものが活かされるところなのかもしれない。

 かつて羨望と期待に満ちていた,いわゆる“次世代機”も,おそらくは当初の想定よりはコンパクトなまとまりを見せ,各社次なる一手を模索中だ。その次なる手の中でも将来の期待値がもっとも高いのが各種オンラインサービスであり,それはわざわざ4Gamer読者のみなさんに説明するまでもないだろう。
 そのオンラインサービスの中でも,現状最も大きな動きを行っているのがSCEであることに疑いはない。プレイステーションという巨大プラットフォームの中で,PS Homeを筆頭とするオンラインサービスはどのように活かされて,どのような姿を見せてくれるのか。
 正田氏の舵取りと決断に期待したい。

■関連サイト:
プレイステーション オフィシャルサイト
PlayStation Store 公式サイト
PlayStation Home 公式サイト
どこでもいっしょ 公式サイト
Demon's Souls 公式サイト


  • 関連タイトル:

    PlayStation Home

  • 関連タイトル:

    Demon's Souls

  • 関連タイトル:

    週刊トロ・ステーション

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    週刊トロ・ステーション

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