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Intel,ゲーム用ノートPCを本気で推進。カギは「さらなるTurbo Boost最適化」と「DisplayPort」にアリ?
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印刷2009/09/29 18:34

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Intel,ゲーム用ノートPCを本気で推進。カギは「さらなるTurbo Boost最適化」と「DisplayPort」にアリ?

IntelによるPCゲーム市場予測。2013年には,PCゲームプラットフォームとして,ノートがデスクトップを追い抜くと分析されている
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 Intelは,ゲーム用ノートPC市場の拡大に本気だ。
 ……といっても,これまでのような「チップセットに統合されたグラフィックス機能でも,ゲームは十分動きますよ」といった,4Gamer読者からすると“子供騙し”に感じられるようなスタンスではない。堅調な成長を維持するPCゲーム市場において,2013年にはノートPCがデスクトップPCを上回るゲームプラットフォームに成長すると見ているIntelが,「今日(こんにち)的なPCゲーム環境において,何が重要なのか」を分析したうえでの「本気」である。


より現実的なTurbo Boost実装のモバイルCore i7

「Arrandale」では“単体GPU搭載時向け最適化”も


Core i7 Mobile Processorを披露するMooly Eden(ムーリー・エデン)副社長(General Manager, PC Client Group, Vice President, Intel)
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 その尖兵となるのは,「Intel Developer Forum 2009 San Francisco」(以下,IDF 2009 SF)で発表された「Core i7 Mobile Processor」(関連記事)だ。本製品には,シングルスレッドアプリケーションや,マルチスレッド対応が軽度に図られたアプリケーションなど,ゲームでありがちなアプリケーションのパフォーマンスを大きく引き上げることが可能になる,「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)が実装されている。

IntelがノートPC向けゲーム市場拡大の尖兵と位置づける,Core i7 Mobile Processorのラインナップ
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Core i7 Mobile Processorの特徴。現時点において,ゲームのパフォーマンスに最も影響を与えるのは,デスクトップ版からさらにチューニングが進んだTurbo Boostだろう
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Core i7 Mobile Processorに実装されるTurbo Boost。シングルコアおよびデュアルコア動作時のクロックアップ幅が拡大されている
 Turbo Boostは,デスクトップPC向けのCore i7&i5でもおなじみだが,開発コードネーム「Clarksfield」(クラークスフィールド)と呼ばれていたCore i7 Mobile Processorでは,大幅なクロックの引き上げを可能にしている。
 引き上げの段階は,ベースクロックとなる133MHz刻みで,シングルコア動作時は9〜10段(=1.20〜1.33GHz),デュアルコア動作時は最大7段(=933MHz),クアッドコア動作時は最大2段(=266MHz)。4コア,ましてや8スレッド処理など必要としない,大半の現実的なアプリケーションで,より高い性能を発揮できるよう,チューニングが施されているのだ。

 ノートPCというか,ノートPC向けCPUの場合,どうしても消費電力設計や熱設計に,性能が左右される。この点,Core i7 Mobile Processorでは,4個のCPUコアの利用状況に応じ,積極的にTurbo Boostを利用したクロックアップを行うことで,1〜2スレッド処理時の性能を高めることを可能にしている。
 CPU内部で,コアの消費電力や発熱状況を監視するパワーコントロールユニットには,当該CPUの最大消費電力と動作温度といったデータが記憶されており,実際の消費電力やコア温度を比較しながら,リミットいっぱいまでクロックを引き上げていくのである。

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Core i7 Mobile Processorの内部構造。負荷の低いCPUコアを休止し,その分の熱設計や消費電力の余裕を,1コアや2コアのクロックアップに充当するという仕組みになっている
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Turbo Boostにおけるクロック決定の仕組み。「現在の消費電力やコア温度」が「リミット値として設定された最大消費電力や温度」と常に比較され,その余裕があるときに,クロックアップが行われる

Arrandaleでは,グラフィックスコア(写真左側のダイ)とCPUコア(同右)の両方でTurbo Boostが有効になるほか,片方のコアに消費電力などの余裕がある場合は,もう一方のコアのクロックアップに割り当てることも可能になる
画像集#009のサムネイル/Intel,ゲーム用ノートPCを本気で推進。カギは「さらなるTurbo Boost最適化」と「DisplayPort」にアリ?
 Intelは,この積極的なパワーコントロールとクロック制御を,2010年初頭に市場投入を予定しているグラフィックス機能統合型CPU,「Arrandale」(アランデール,開発コードネーム)でも採用する。しかもArrandaleでは,統合されるグラフィックス機能にもTurbo Boostが採用され,デュアルコアCPUとグラフィックス機能の両方に,それぞれ最大消費電力値が設定されるのだ。CPUとグラフィックス機能で,一方の消費電力や負荷が低いときには,そのマージンを,もう一方のクロックアップに利用することで,さらなる性能向上を図っていく。


ArrandaleのCPUパッケージ。ムービーと同じく,左に見えるのが,45nmプロセス技術で製造されるグラフィックス機能,右が,32nmプロセス技術で製造されるWestmereアーキテクチャのCPUコアだ
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 注目したいのは,Arrandaleを単体GPUと組み合わせたときで,Arrandaleに統合されたグラフィックス機能が不要で,完全に機能停止できるときには,その分のマージンを,CPUコアのTurbo Boostへ,全面的に振り分けられるようになる可能性があるということ。単体GPU搭載時には,Turbo Boostの効果が,より表れやすくなるというわけだ。
 現時点で,これが実装されるかは未確定。かつ,過去の実績からして,「グラフィックス機能を完全に機能停止する」ことができるのかについては疑問符が付くため,確定事項として頭に入れることはお勧めしないが,面白いアイデアなのは間違いない。

 ただし,Arrandaleのデスクトップ版といえるCPU,「Clarkdale」(クラークデール,開発コードネーム)では,やや状況が異なる。
 Intelでチップセットやグラフィックスのマーケティングを担当するJoshua Newman氏(ジョシュア・ニューマン,Product Marketing Manager, Chipset & Graphics Marketing)いわく,「デスクトップだと熱設計に余裕があるため,グラフィックス機能は常時最大パフォーマンスで走らせるよう設定している。そのため,グラフィックス機能へのTurbo Boost実装は見送った」。
 ただ,グラフィックス機能分の余剰を,CPUへ振り分けられるとすれば,Clarkdaleを高クロックなデュアルコアCPUとして利用したい人にとっては魅力的な話。8スレッドなどいらない。ビデオのトランスコードもしないという,ミドルクラスのゲーマーのためにも,Arrandaleと同等の機能を実装してほしいところである。

Core i7-920XM搭載ノートPCによるバイオハザード5のデモ。1280×800ドットで80〜90fps台を軽々と叩き出すとしていたが,GPUに「GeForce GTX 280M」を搭載しており,その恩恵のほうが大きい点は要注意
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 もっとも,1〜2スレッドの性能に注力したチューニングをノートPCで行っているからといって,Intelがマルチコア化のメリットを否定しているわけではない。ゲームそのもののマルチコア対応があまり進んでいないとはいえ,ゲーム中にWebブラウジングやビデオ鑑賞,チャット,Twitterを並行して行うときにも,Core i7 Mobile Processorなら,パフォーマンスが極端に落ちたりはしないという,(ある意味,これまでを踏襲した)アピールは行っていた。
 また,カプコンの「バイオハザード5」(海外名 Resident Evil 5),Codemastersの「OPERATION FLASHPOINT: DRAGON RISING」などを引き合いに,ゲームのマルチコア対応も着実に進んでいるとアピールする。

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「ベンチマーク以外でも,ゲーマーはマルチタスク処理を必要としている」という主張。ボイスチャットは一般的になりつつあるが,ビデオを見たり,録画したり,Twitterに登録したりするところまで“マルチに”こなすプレイヤーはいない気がする
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ゲーム(とメディア制作系)アプリケーション側のCore i7対応状況。バイオハザード5やOPERATION FLASHPOINT: DRAGON RISING,「Football Manager 2009」「Alliance of Valiant Arms」などが,Core i7プロセッサへの最適化を果たしているという


Intelも3D立体視環境を推進

そのきっかけを作るのはDisplayPort


Dynamic Digital Depthの技術を使った,「Race Driver: GRID」の3D立体視デモ
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 もう一つ,Intelが,3D立体視(3D Stereo Graphics)に活路を見いだそうとしているフシがあることもお伝えしておきたい。

 IDF 2009 SFのテクノロジーショウケースでIntelは,Dynamic Digital Depthの技術やTriDefの3Dドライバを使った,3D立体視によるゲーム環境を,コンセプトデモとして披露していた。

アクティブシャッター型のメガネや,赤緑メガネなど,さまざまな手法で3Dゲーム環境を実現できるというコンセプトデモが披露された
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 しかもIntelは,デスクトップPC環境だけでなく,ノートPCにも,この3D立体視環境を積極的に展開しようとしている。

DisplayPort 1.1aでは3D立体視のためのプロトコルが拡張された。これにより,将来は,より簡単に3D立体視を実現できるようになるという
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 例えば,新しいディスプレイ規格として急速な普及を見せているDisplayPortに,3D立体視のためのプロトコル拡張を盛り込むよう働きかけた。実際,2009年2月に策定された最新規格「DisplayPort 1.1a」に,このプロトコル拡張が盛り込まれていたりする。

 また同社は,2010年から,ノートPCの液晶パネル接続に,DisplayPortをベースとする「eDP」(Embedded DisplayPort)を採用するよう,PCベンダーに働きかけている最中だ。現在,ノートPCの液晶パネル接続には「LVDS」(Low Voltage Differential Signaling)が使われているが,配線数が多いため,高解像度パネルや高速パネルを搭載するに当たって,ネックとなっていた。そこで,よりシンプルな配線が可能で,かつ,高解像度&高速仕様の液晶パネルへの対応も可能なDisplayPortへの移行を,積極的に進めようというわけだ。

 ただ,ノートPC用の高解像度&高速液晶パネルは,種類が少なく,コストも低くない。そこで,IntelでDisplayPortの推進役を務める,Huzaifa Dalal氏(ハザイファ・ダラル,Business Initiatives Manager, Intel ; Member, VESA Board of Directors)は,「ノートPCにおけるDisplayPort採用のメリットの一つとして,3D立体視ゲーム対応がある」と,PCメーカーが,他社との差別化を図る手段として,3D立体視を採用する可能性について言及していた。実際,2009年末から2010年にかけて,3D立体視に対応したノートPCが市場投入される計画も存在しているようだ(※もっとも,最初の製品は,NVIDIAの「GeForce 3D Vision」を採用すると言われているが)。


 いずれにせよ,Intelがいままで以上に,PCゲーム市場へ積極的に乗り出していることだけは間違いない。あとは,本当に意味があり,PCゲーマーを満足させられる製品が,市場を賑わしてくれることを待つばかりである。
  • 関連タイトル:

    Core i5&i3(LGA1156,デュアルコア)

  • 関連タイトル:

    Core i7 Mobile Processor(クアッドコア)

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