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  • 発表日:2008/02/21
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印刷2008/02/21 23:00

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NVIDIA,ミドルレンジ向け新型GPU「GeForce 9600 GT」を発表

GeForce 9600 GT GPU
画像集#002のサムネイル/NVIDIA,ミドルレンジ向け新型GPU「GeForce 9600 GT」を発表
 2008年2月21日11:00PM,NVIDIAはGeForce 8600シリーズの後継に当たる,新しいミドルレンジ市場向けGPU「GeForce 9600 GT」を発表した。「GeForce 9」世代のGPUが登場したのは,もちろんこれが初めて。NVIDIAは長らく,新しい世代のGeForceを投入するときは,ハイエンド先行を慣例としてきたが,GeForce 9600 GT搭載グラフィックスカードの想定売価は169〜189ドル。GeForce 9世代は,200ドル以下の製品からスタートすることになる。

GeForce 9600 GTリファレンスカードのイメージ。1スロット仕様のGPUクーラーにカード全体が覆われており,GeForce 8800 GTリファレンスカードと似た雰囲気だ
画像集#003のサムネイル/NVIDIA,ミドルレンジ向け新型GPU「GeForce 9600 GT」を発表

事前説明会でGeForce 9600 GTを発表する,Ujesh Desai氏(GM, Desktop GPU Product, NVIDIA)
画像集#004のサムネイル/NVIDIA,ミドルレンジ向け新型GPU「GeForce 9600 GT」を発表
 もっとも,アーキテクチャレベルでGeForce 9はGeForce 8のそれを踏襲しており,現実的にGeForce 9は,PCI Express 2.0への対応といった強化が行われた“だけ”のマイナーチェンジに留まっている。もっといえば,世代が進んでDirectX 10.1をサポートするに至ったATI Radeon HD 3000シリーズのような,目に見える機能強化はない。
 実際,NVIDIAでデスクトップGPUビジネスを統括するUjesh Desai氏は,2008年1月に米国ラスベガスで開催された報道関係者向け事前説明会で「(GeForce 9の名称を用いたのは)パートナーとなるカードベンダーからの要望が高かったためだ。アーキテクチャレベルで,GeForce 9600 GTはG92と同等である」と説明している。

過去のミドルレンジ価格帯GPUとのパフォーマンス比較。GeForce 9600 GTの3D性能はGeForce 8600 GTSの2倍以上とされる
画像集#005のサムネイル/NVIDIA,ミドルレンジ向け新型GPU「GeForce 9600 GT」を発表
 それでもGeForce 9600 GTでは,ユーザーに大きなメリットがもたらされると,NVIDIAは自信を見せる。というのも,GeForce 9600 GTのグラフィックスコアである「G94」は,65nmプロセスで製造され,5億500万トランジスタを集積し,64基のストリーミングプロセッサを搭載するからだ。「G84」コアを採用するGeForce 8600シリーズと比べて,ちょうど2倍の演算ユニットを搭載している計算になることもあり,NVIDIAはGeForce 8600シリーズの最上位モデル「GeForce 8600 GTS」と比べて,GeForce 9600 GTは,2倍以上の3D性能を実現したと主張する。

価格で競合する「ATI Radeon HD 3850」に対して,絶対的な性能だけでなく,消費電力当たりの性能でも明白な優位性を持つとするスライド
画像集#006のサムネイル/NVIDIA,ミドルレンジ向け新型GPU「GeForce 9600 GT」を発表 画像集#007のサムネイル/NVIDIA,ミドルレンジ向け新型GPU「GeForce 9600 GT」を発表

メモリ圧縮技術の向上をアピールするスライド。GeForce 8800 GTX(G80)を64ストリーミングプロセッサ,256bit幅メモリインタフェースで動作させて条件を揃えると,GeForce 9600 GTのほうがメモリ周りのスコアは高くなるという。なお,同技術はG92コアのGeForce 8800 GTなどにも搭載されている
画像集#008のサムネイル/NVIDIA,ミドルレンジ向け新型GPU「GeForce 9600 GT」を発表
 また重要なのは,G94がG92と同等のアーキテクチャを採用している点。つまり,純然たるGeForceのミドルクラスGPUとしては初めて256bit幅のメモリインタフェースを採用していることだ。さらに,ROPユニットがメモリインタフェースと対をなす格好で実装されるG8x/G9xの仕様を踏襲するため,GeForce 9600 GTのROPユニット数は(G92コアを採用する)「GeForce 8800 GT」と同じ16基で,ミドルクラスGPUとしては非常にリッチ。このことは,スループット性能の向上を期待させる。ちなみにGeForce 9600 GTでは,メモリ圧縮技術の改良により,高解像度域でのパフォーマンスを中心に最大20%の性能向上も果たしているという。

 このほかクロックなどの詳細は表1を参照してほしいが,65nmプロセスの採用によって,(コアクロックこそ,GeForce 8600 GTSより25MHz低い650MHzとなったものの)シェーダクロックは1.625GHzと,GeForce 8600 GTSの1.45GHzから大幅に高速化されている。

※1 国内で市販されている製品の最低クロックは1.4GHz相当となっている(2008年2月21日現在)
※2 グラフィックスメモリ512MB版の動作クロック。同256MB版の規定はないが,国内で市販されている製品の最低クロックは1.4GHz相当となっている(2008年2月21日現在)
※3 カードによる。NVIDIAの公式回答は「GeForce 8800 GT以下」。また実際に搭載カードを国内市場へ投入しているPINE Technology(XFX)によれば110W
画像集#011のサムネイル/NVIDIA,ミドルレンジ向け新型GPU「GeForce 9600 GT」を発表

 GeForce 9600 GTの最大消費電力は95Wで,カード上には6ピンのPCI Express補助電源コネクタを装備する。NVIDIA SLI(以下,SLI)は2-wayのサポートとなり,NVIDIAによれば,GeForce 9600 GTのSLIは「GeForce 8800 GTX」シングルカードのパフォーマンスを凌駕するとのことだ。
GeForce 9600 GTに合わせて機能強化されたPureVideo HD
画像集#009のサムネイル/NVIDIA,ミドルレンジ向け新型GPU「GeForce 9600 GT」を発表
 また,GeForce 9600 GTの登場に合わせ,NVIDIAはPureVideo HDのイメージ拡張機能を有効にし,HDコンテンツの再生機能でも品質向上を果たす(表2)。PureVideo HDにおけるイメージ拡張機能の詳細は2008年2月8日の記事に詳しいが,簡単にまとめるなら,高解像度テレビに搭載される映像エンジンよろしく,ストリーミングプロセッサを活用して動画のフレーム1枚1枚を解析しながらコントラストや色合いを調整する機能のこと。NVIDIAはこれを「Dynamic Contrast Enhancement」「Automatic Green, Blue & Skin Tone Enhancements」と呼んでいる。
 また,片方のビデオストリームをグラフィックスコア内蔵のビデオエンジンで,もう片方をストリーミングプロセッサで処理することで,ピクチャー・イン・ピクチャーなど,二つの動画ストリームデータの再生処理を行う「Dual Stream Decode acceleration」が実装されたのも特徴といえるだろう。なお同機能はGeForce 9600 GTだけでなく,G92コアのGeForce 8800 GTやGeForce 8800 GTS 512でもサポートされる。

※ ドライバレベルでは同機能を有効にできる“可能性”を持つGeForce 8600 GTSだが,ストリーミングプロセッサ数がカギを握るデジタルイメージ拡張において,パフォーマンスは期待できない
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競合はATI Radeon HD 3850という位置づけだ
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 NVIDIAのパートナーとなるカードベンダーは,「NVIDIAは,ATI Radeon HD 3000シリーズによるAMDの値下げ圧力に対抗するため,GeForce 9600 GTの投入を前倒しした」と口を揃える。GeForce 9600 GTのチップは2008年1月第2週に生産が始まったばかりで,チップがパートナーの手に渡ったのは1月後半になってからとのことだ。そのため「NVIDIAはバックアッププランとして,“G92コアのGeForce 9600 GT”投入も検討していた」と,あるパートナーの関係者は証言する。それが,1月末に急遽市場投入された「GeForce 8800 GS」だというのである。また,同関係者によれば,「G94コアでも,G92コアと同様に,派生モデルの展開がある」とのことで,今後のラインナップ展開が気になるところだ。

 NVIDIAがGeForce 9600 GTで打ち出した戦略は明確である。それは「アーキテクチャ的に大きな変革はなくとも,従来のシリーズ構成をできる限り維持しつつ,着実にパフォーマンスアップを図っていく」というものだ。対するAMDは,DirectX 10.1対応こそ果たしたものの,シェーダ構成などは従来モデルと変わらないため,パフォーマンスアップがあまり期待できず,価格競争に出ざるを得なかったと見ることもできるだろう。この価格競争に乗らず,現状の価格構成を維持することで,パートナー各社の利益を確保する戦略に出たとして,NVIDIAを評価する関係者も多い。

PINE Technology(XFX)はシネックスを通じて,リファレンスクロックで動作する「PV-T94P-YDF」と,コアクロックを700MHzに引き上げた「PV-T94P-YDD」を販売予定だ。予想実売価格は順に2万6500円前後,2万8500円前後
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 ただ2008年2月下旬において,グラフィックスメモリ512MB版のGeForce 8800 GT搭載カードが大きく値を下げ,一部では2万円台後半で購入できるものも出てきているという現実から目を背けるわけにはいかないだろう。GeForce 9600 GTのパフォーマンスは別途掲載しているレビュー記事を参照してほしいが,GeForce 8800 GTとのバランスを考えるに,ユーザーは2万円前後の店頭売価を求めるはずだ。カードベンダー各社は,GeForce 9600 GTカードを2万円台半ば〜3万円程度の価格で投入する予定のようだが,「ミドルクラスの価格帯に,3D性能を要求するゲームへ対応できる製品が増えたことを歓迎したい」といえるようになるには,少し時間が必要かもしれない。
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