インディーズゲームの小部屋：Room＃498「A Robot Named Fight！」

　ロジクールの新しい親指トラックボールが気になって仕方がない筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第498回は，Matt Bitner Gamesの「A Robot Named Fight！」を紹介する。本作は，危機に瀕したロボット達の世界を救うため，単身で敵対生物と戦っていくという横スクロールアクションだ。欲しいけど，ちょっと高すぎるよ……。


　平和な時代が数千年続いたロボット達の世界に，あるとき，月ほどの大きさを持つ脈動する肉の塊，メガビーストが襲ってきた。メガビーストは次々と自らの子供を生みだして地上を侵略し，今やロボット達の運命は風前の灯。主人公のロボットはそんなメガビーストの脅威を食い止めるため，単身戦いを挑むことに……。


　本連載の第495回で紹介した「20XX」はステージがランダムで生成される「ロックマンX」といった感じのゲームだったが，本作をひと言で表現すると，マップが毎回自動的に生成される「メトロイド」である。
　ゲームの流れはメトロイドを踏襲しており，マップを探索して新たな武器やパワーアップを手に入れ，それらを駆使してドアのロックを解除したり，隠し通路を見つけ出したり，要所で出現するボスと戦ったりというもの。マップの組み合わせは，なんと40億通り以上あるというから驚きだ。


　主人公は，ゲーム開始時はジャンプとショット（通常攻撃）しか使えないが，マップのあちこちにあるアイテムを取ることで，ミサイルや電撃，火炎放射器などの武器，ダッシュやスライディング，クモ型への変形といった能力を使えるようになる。こうした武器やパワーアップは合わせて60種類以上あり，これらを使いこなさなければ突破できないドアや地形も，もちろん存在する。


　メトロイド同様，本作の醍醐味もマップ探索の面白さにある。新たな武器や能力を手に入れることで，それまで通れなかったところを通れるようになり，少しずつ行動できる範囲が広がっていく過程が何よりも楽しく，本作でもこの点はばっちり受け継がれている。何気なく壁や天井を撃ってみたら隠し通路があり，その先にアイテムがあったりと，マップの至るところにちょっとした発見が満ちており，非常にワクワクできるのだ。


　また，要所で発生するボスとのバトルも，いいアクセントになっており，装備次第ではかなり苦戦させられる。ここで注意しておきたいのが，本作では主人公が倒されると，それまでに集めたアイテムをすべて失い，新しいマップで一からやり直しになるという点。一応の救済措置として，一度だけ復活可能なセーブポイントが見つかる場合もあるが，基本的には死んだらおしまいなので，常に慎重に行動しよう。


　本作は，マップが自動生成されるゲームにありがちな理不尽さや，マップの“やっつけ感”が少なく，アクションと探索のバランスが絶妙で，たとえミスをしても，もう一度チャレンジしたくなる魅力がある。その完成度の高さは，よくぞここまでと言いたくなるほどで，メトロイドファンはもちろん，アクションゲームが好きな人に強くお勧めしたい。そんな本作はSteamにて980円で発売中。値段以上の面白さなので，興味を持った人はぜひとも遊んでみてほしい。

■「A Robot Named Fight！」公式サイト

https://www.arobotnamedfight.com/