インディーズゲームの小部屋：Room＃447「Project Highrise」

　学生時代はよく，授業をさぼって新宿・副都心の高層ビルに登っていた筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第447回は，SomaSimが開発した「Project Highrise」を紹介する。本作は，自分だけの高層ビルを建築・運営していくシミュレーションゲームだ。高いところから下界の様子を見下ろすのって，最高に気持ちいいですよね。人がゴミのようで（悪人顔）。


　高層ビルの建築シミュレーションと言えば「ザ・タワー」が真っ先に思い浮かぶが，プレイヤーがビルの経営者兼建築家となってオリジナルのビルをデザインするという点は本作でも変わらない。本作では，プレイヤーが自由にビルを作れる通常のゲームモードのほかに，あらかじめ用意されたビルでさまざまな課題を解決していくシナリオモードと，ゲームの基本的な進め方が学べるチュートリアルが用意されている。


　通常のゲームモードを開始すると，地上1階，地下1階の小ぢんまりとしたビルが表示される。これをベースに，少しずつビルを大きくしていくのだ。ビル内には，オフィスやレストラン，ショップ，賃貸アパートなどのテナントを入れることができ，そこから1日ごとの収入を得られる。序盤のうちは小さなオフィスとカフェなどを入れて，安定した収入を得るところから始めるといいだろう。

最初はこんな感じ。ここからビルを大きく発展させていこう

　「ザ・タワー」との違いは，プレイヤーが自分で電気，水道，ガス，電話，ケーブルTVを配線してやる必要があること。各テナントはそれぞれ必要とするインフラが設定されており，オフィスなのに電気や電話が通ってなかったりすると，入居者が不満を持ってビルを出て行ってしまう。テナントが増えると，当然ながら消費電力などが増すので，それに合わせて変電設備などを増設しなくてはならない。


　また，よりグレードの高いテナントを入居させたい場合は，前提となる施設やサービス――例えば，オフィス用品やコピー，ボトルウォーターのサービス，ゴミ捨て場やリサイクル施設，さらには犬の散歩やハウスキーピングサービスなど――が必要となることが多い。そのうえ，テナントごとに，上層階が好き，エレベーターの近くがいいなどと，あれこれ注文を付けてくるので頭を悩まされる。


　そしてもう1点，「ザ・タワー」と大きく違うのは，エレベーターの運行管理という概念が存在しないこと。「ザ・タワー」では，階段，エスカレーター，エレベーターをうまく組み合わせて，ビルの利用者が快適に目的地に移動できるようにすることに主眼が置かれていたが，本作の住民はそのあたりをあんまり気にしないのか，エレベーター待ちでストレスを溜めたりしないので，ありがたい。


　徐々にフロアを拡張し，テナントの数を増やしてビル内が賑やかになっていくのを眺めるのが楽しい本作。ビルが大きくなるほど，利用者達の要望をすべて満たすのが難しくなっていくが，「ザ・タワー」や「シムシティ」シリーズが好きな人なら間違いなくハマれるゲームなので，いっちょ自分もビルのオーナーになってみようかという人はぜひどうぞ。そんな本作は，Steamにて1980円で発売中だ。

■「Project Highrise」公式サイト

http://www.kasedogames.com/projecthighrise