インディーズゲームの小部屋：Room＃441「INSIDE」

　最近はアイドル達と合宿生活を送っている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第441回は，Playdeadの「INSIDE」を紹介する。本作は，謎のプロジェクトに巻き込まれた少年を操作して，理由も分からず追っ手から逃げ続けるという横スクロールアクションだ。合宿所はやっぱり沼津にあるのかな。


　Playdeadと言えば，幻想的で残酷な独特の世界観で高い評価を獲得した「LIMBO」の開発元として知られる独立系開発会社。そんなPlaydeadの新作となる「INSIDE」は，これまたぞっとするような，不気味な世界観を感じさせる横スクロールアクションだ。
　本作では，とくにこれといったバックグラウンドは用意されていない。文字や会話による説明も一切なく，物語は謎めいていて，すべてはプレイヤーの想像に委ねられている。


　ゲームを開始すると，真っ暗な森の中を少年が何かから逃げている。理由は分からないが，怪しげな仮面を付けた大人達が少年の行方を追っているようだ。少年には戦う手段がなく，捕まると即座にミスとなってしまうので，とにかく彼らに見つからないよう，物陰から物陰へと身を隠しながら進んでいこう。


　また，少年はジャンプのほかには，物をつかんで押したり引っ張ったりするくらいしかできず，高いところから転落したり，長時間水中に潜っていたりすると，あっという間に死んでしまう。そんなごく普通の少年を操作して，とにかく何かから逃げ続けるのが，このゲームの目的となっている。


　少年が何から逃げようとしているのかは，はっきりとは説明されないが，ゲームを進めると少しずつ状況が見えてくる。どうやら彼は，人間を意思を持たないロボットのようにしてしまう工場から逃げ出したのではないかと思われるのだ。ロボット人間達は与えられた指示を忠実にこなすだけの存在で，ときには彼らの手を借りて状況を打開するような場面もある。


　ゲームプレイは「LIMBO」に通じるものがあるが，モノトーンを基調としたグラフィックスはさらに磨きがかかっており，BGMのない環境音のみのサウンドと相まって，世界観の不気味さを引き立たせている。道中では，ちょっとした仕掛けを解いたり，スイッチを押したりといった謎解き要素もあるが，少年自身ができるアクションが少ないこともあって，少し考えれば正解が分かるだろう。


　ゲーム中のトラップには即死系のものが多いが，ミスをしても直前のシーンからすぐにやり直せるためテンポがよく，先が気になって一気に最後まで遊ばせる力がある本作。一度はまったら抜け出せない不気味な世界観は，まさにPlaydeadならではで，とくにラストの展開はかなり衝撃的だ。果たして少年は無事に逃げ延びることができるのか，興味を持った人はぜひ遊んでみてほしい。そんな本作は，Steamにて1980円で発売中だ。

■「INSIDE」公式サイト

http://www.playdead.com/games/inside/