インディーズゲームの小部屋：Room＃309「Finding Teddy」

　ちょっとした衝撃で崩れてくる積み本の山にびくびくしながら日々を過ごしている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第309回は，LookAtMyGameの「Finding Teddy」を紹介する。本作は，盗まれてしまったテディベアを取り戻すため，小さな女の子が不思議な世界を冒険するというアドベンチャーゲームだ。今年の年末は大掃除に専念するぞ！


　ある夜，主人公の女の子がお気に入りのテディベアを抱いて眠っていると，突然，クローゼットからモンスターの足が伸びてきて，彼女のテディベアを盗んでしまった。目を覚ました女の子は大事なぬいぐるみを取り戻すため，クローゼットの向こう側にある，奇妙な生き物でいっぱいの魔法の世界を探検することに……。


　というわけで，ゲームの目的はこの魔法の世界を歩き回り，テディベアを見つけ出して元の世界に帰ることだ。
　本作は，行きたい場所や調べたいものをクリックするだけで遊べるポイント＆クリック型アドベンチャーで，ある場所で手に入れたアイテムをほかの場所で使ったりして仕掛けを解き，先へと進んでいく。見てのとおり，グラフィックスはどことなく懐かしい感じのドット絵で描かれており，てくてく歩いたり，ジャンプしたり，物を持ち上げたりする女の子の様子がめちゃめちゃ可愛い。


　しかし，ほのぼのとした見た目にだまされてはいけない。このゲーム，ちょっとを気を抜くと，あっという間に女の子が死んでしまうのだ。この世界には，さまざまな奇妙な生き物がいるのだが，これが揃いも揃って好戦的。女の子は，ニョロッとした謎の生物に近づいては丸飲みにされ，大きなハチには刺し殺され，泣き虫ロボットを慰めようとしては叩き潰されてしまう。ひどいよ！


　まさに悪夢としか言いようがない世界だが，女の子に敵対する生き物ばかりが登場するわけではない。ゲームを進めると，シルクハットをかぶったハエ（？）の“Mister Fly”と，黒猫の“Mister Cat”が仲間になる。この2匹は，女の子には手が届かない場所にあるアイテムを取ってきてくれたりする良き相棒だ。
　そして本作にはもう一つ，特徴的な仕掛けが用意されている。それは，五線譜（のようなもの）に音符（？）を並べて特定のメロディを奏でることで謎を解くというものだ。


　本作には，ところどころに奇妙なメロディを歌っている生き物などがおり，そのメロディを覚えて別の場所で鳴らすことで，新たな道が開かれる。例えば，冠をかぶったカエルの王子様（？）が歌っているメロディを，別の場所で道をふさいでいるカエルの群れに聞かせると，カエル達がいなくなってそこを通れるようになる，といった具合だ。


　さらに，ゲームを進めていくと，この音符には隠された意味があることが分かってくる。ネタバレになってしまうので詳しくは書かないが，ぜひその謎はゲームをプレイして，自分の目で確かめてほしい。ゲーム本編は2〜3時間程度でクリアできるボリュームだが，あちこちに隠れているホタルを見つけ出すとギャラリーにイラストが追加されるといった隠し要素もあり，値段ぶん以上に楽しめる。
　そんな本作はSteamやDesuraにて6.99ドルで発売中なので，可愛らしさと不気味さが同居した世界観に興味を引かれた人はぜひどうぞ。ラストはちょっぴり心が温かくなります。

■「Finding Teddy」公式サイト

http://www.lookatmygame.com/Games/Finding-Teddy