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インディーズゲームの小部屋:Room#308「Mutant Mudds Deluxe」
先日発表された2013年の流行語大賞を受けて,自分はどうだったかと思案している筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第308回は,Renegade Kidの「Mutant Mudds Deluxe」を紹介する。パッと見は普通の横スクロールアクションだが,開発元によると本作は8-bitでも16-bitでもなく,“12-bit”アクションなのだという。その真意は一体どこにあるのか? うーん,やっぱり筆者が今年一番たくさん使った言葉は「眠い」かな(ダメ人間)。
主人公のMaxがリビングで寝そべってゲームに興じていた,ある日のこと。宇宙から隕石が落ちてきて,大きな揺れが家を襲った。驚いたMaxがニュースを見ると,何とそこでは“泥んこ”な異星人の襲来が報じられているではないか! こうしてはいられないとばかりに立ち上がったMaxは,水鉄砲とジェットパックを持って家を飛び出した。泥んこ異星人こと“Mutant Mudds”の侵略を食い止めるために……。
伝説によると,“Water Sprites”という名のアイテムにはどんな泥でもきれいさっぱり洗い流す力があり,これをすべて集めれば異星人どもを永久に追放できるという。なんのこっちゃという感じだが,ゲームの目的は水鉄砲による攻撃とジャンプの2つのアクションを駆使してステージを攻略し,最後にあるWater Spritesを手に入れること。Maxの装備しているジェットパックは,ジャンプ中にもう一度ジャンプボタンを押すとホバリングが可能だ。
本作の魅力は何と言っても,スーパーファミコン時代のゲームのようなドット絵で描かれたレトロスタイルのグラフィックスと,奥行きを使った独特のステージ構成にある。一見するとただの横スクロールゲームのようだが,実はステージの“奥”と“手前”にもキャラクターが移動できるフロアがあるのが特徴だ。
ステージを進んでいくと,ところどころに矢印が描かれたタイルがあり,この上でジャンプをすると矢印の向きにあるフロアに移動できる。なるほど,だから“12-bit”なのか。
面白いのは,自分が今いるところだけでなく,すべてのフロアがいっぺんにゲーム画面に表示されることで,例えば中央のフロアにいるときは,奥のほうは小さく,手前側は大きく,ピントが外れてぼやけたように描かれている。簡単に言ってしまうと,多重スクロールの背景のように見えるわけだ。この,見た目の大きさはフロアを移動しても変化せず,ピントだけが今自分がいるフロアに合わせて変更される。
つまり,奥に移動するとキャラクターが豆粒のように小さくなり,逆に手前のフロアでは妙に大きくなった(というか,大きく見える)キャラクターを操作することになるわけだ。文章で書くとややこしく感じるかもしれないが,実際にプレイしてみればすぐに理解できるはず。
ゲーム中は,この“奥”“手前”の概念を利用した仕掛けなどもあり,これがなかなかに新鮮で飽きずにプレイできる。さらに各ステージに1つずつ,隠しステージも用意されており,合計で80ステージもあるなどボリュームたっぷりだ。
また,ステージに落ちている通貨のようなアイテム“Golden Diamonds”を集めて,おばあちゃんの屋根裏部屋に行き,水鉄砲やジェットパックをパワーアップさせるという要素もある。これらのパワーアップは一度に一つしか持てないが,上述の隠しステージを見つけるために不可欠なので,アイテムはできるだけ残さず回収しておこう。
ゲーム難度はやや高めだが,シンプルながらひと捻りきいたゲームシステムと,愛らしいグラフィックスが魅力的な一本なので,アクションゲームファンはぜひどうぞ。そんな本作は,Steamにて9.99ドルで発売中だ。
■「Mutant Mudds Deluxe」公式サイト
http://www.renegadekid.com/mutantmuddsdeluxe.htm- この記事のURL:
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