連載
インディーズゲームの小部屋:Room#88「Gravity Bone」

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いきなり白状してしまうと,実のところゲームを最後までプレイしても,本作のストーリーや設定,目的などははっきりと分からない。プレイヤーはただアベルという名前の市民(Citizen Abel)であり,何かのパーティが催されているクラブに潜入して,目の前に突き出された意味不明の依頼を一つずつこなしていくのだ。自分は一体何者で,何のために目的を達成しているのか(あるいは何が目的なのか),本作ではそのすべてがプレイヤーの想像に任されている。
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そんなシュールなゲーム性をさらに特徴づけているのが,箱型を繋ぎ合わせただけのペーパークラフトのようなキャラクターに見られる,簡にして要を得たアートスタイルのグラフィックスだ。パーティの参加者は一様に仮面で顔を隠し,その間をグラスを乗せた盆を持った初老のウェイターがすり抜けていく。何やら秘密めいたものを感じさせるが,もちろん詳しいことは不明。そんな中,プレイヤーに最初に与えられた指令は……という具合に,あっという間に本作の雰囲気に引き込まれてしまうだろう。
以前紹介した「Smokin' Guns」は,オープンソース化された「Quake III Arena」のソースコードを元に制作された作品だったが,本作はそれよりも古い「Quake 2」のソースコードを下敷きにしており,基本的な操作はFPSのそれに準じている。また,必要な操作はその都度,近くの壁などに操作方法が書かれているので,プレイ中に操作が分からなくて困るといったことはない。あとは,ちょっとした英語が読めれば言うことなしだ。
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凝ったストーリーや,実写と見まごうほどのグラフィックスを売りものにしているゲームが当たり前になりつつある中,本作ではその両方をプレイヤーの想像力に丸投げしてしまっており,本作で繰り広げられているのがサスペンスなのかコメディなのか,あるいはただのナンセンスなのか,プレイヤーにはそれすらも最後まで分からない。しかし,それでいて,先の展開見たさでぐいぐいとプレイヤーを引きつける不思議な魅力を,本作は持っている。
ゲーム自体は,クリアまで20〜30分程度と短いものの,最後の最後であっと驚くようなドラマティックな展開が待ち構えており,一気にテンションが上がる。そして,ラストシーンでは思わずホロリでポロリな……いや,ポロリはないが,何ともいえない余韻が残るエンディングを迎える。そして結局,「で,一体何だったの?」というところに一巡して,やっぱり疑問が残るという,何ともシュールな作品だ。本作は作者のサイトで無料で公開されているので,言葉ではうまく言い表せない本作独特の魅力を,ぜひ体験してもらいたい。
■「Gravity Bone」公式サイト
http://www.blendogames.com/![]() |
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