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印刷2007/10/04 21:35

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Intel,定例アップデートで「いま力を入れているところ」を紹介

Sean Maloney氏(Executive Vice President, General Manager of Sales and Marketing Group, Chief Sales and Marketing Officer)
画像集#002のサムネイル/Intel,定例アップデートで「いま力を入れているところ」を紹介
 Intelは,2か月に一度の割合で定期的に開催している報道関係者向け説明会を,今回は「インテル アップデート」と題して開催。Intel本社の主席副社長であるSean Maloney(ショーン・マローニ)氏が来日し,先に開催されたIntel Developer Forum Fall 2007の主要テーマを要約した。
 同イベントについては,4Gamerでもレポートをお届けしていることもあり,さすがに目新しい情報はほとんどなかった。とはいえ,Intelが「いま何に力を入れているのか」がよく分かる内容だったので,そのポイントをレポートしてみることにしたい。


トランジスタの大革命〜45nmプロセス


 Maloney氏は説明会で,まずトランジスタの重要性を強調。トランジスタは日本や米国経済を支える柱の一つとしたうえで,「トランジスタの健康診断をしてみたい」と切り出した。トランジスタの発展が止まれば日本や米国経済に深刻な影響を及ぼすわけだが,いまトランジスタはどうなっているのだろうか? 健康状態をチェックしましょうというわけだ。

 ……そして氏がおもむろに示したスライドに写っていたのは,なんとLee De Forest(リー・デ・フォレスト)だった。

Lee De Forest。日本では「リー・ド・フォレスト」とする文献が多いので,そちらなら記憶にある,という読者はいるかもしれない
画像集#003のサムネイル/Intel,定例アップデートで「いま力を入れているところ」を紹介

 Lee De Forestと聞いてピンと来る人はそう多くないと思うが,今からおよそ100年前に3極管――トランジスタと同じような働きを持つ真空管で史上初の能動素子――を発明した人物である。
 Maloney氏は「Lee De Forestの3極管は,100年前に無線技術に革命を起こした」と紹介。さらに,William B. Shockley(ウィリアム・ショックレー)によるトランジスタの発明,そしてRobert Noyce(ロバート・ノイス)の集積回路と,デバイスの革命の歴史を順に挙げて,「High-Kメタルゲート45nmトランジスタ」は「それらの革命に匹敵する革命だ」と,その成果を強調した。

45nmの意義をアピールするMaloney氏。実物のサンプルを示しつつ「45nmプロセスでパッケージを60%小型化できた」と述べていた
画像集#012のサムネイル/Intel,定例アップデートで「いま力を入れているところ」を紹介
画像集#005のサムネイル/Intel,定例アップデートで「いま力を入れているところ」を紹介
 筆者もPC業界に長くいるが,半導体メーカーが,Lee De Forestにまでさかのぼって新技術の意義を強調した例は,過去になかったのではないかと思う。
 余談だが,集積回路の公式な(=特許を取得した)発明者は,Texas InstrumentsのJack St.Clair Kilby(ジャック・キルビー)。ほぼ同時期に集積回路を実現していた,(Intel創設者の一人である)Robert Noyceがわざわざ挙げられているあたりは,Intelの意地といえそうだ。

 それはともかく,Intelは最近,ことあるごとに45nm High-Kプロセスの意義を強調している。しかも,採用製品の登場が近くなればなるほど,強調の度合いは大げさになっているように見える(今回がまさにそうだ)。過去,Intelは90nmプロセスの移行に苦しんだ経緯があり,45nmプロセスで,漏れ電流などの問題をクリアしながら大幅な集積度アップが果たせる意義は確かに大きいのだろう。
 ただ,45nmプロセスを大げさとも思えるほど強調する背景には,AMDの存在があるに違いない。ご存じのように,AMDは65nmプロセスへ移行をようやく(ほぼ)し終えた段階だ。プロセス技術でAMDに大きく差を付けていることをアピールする狙いもあると思われる。


モバイル機器のインターネット対応は必須になる


画像集#006のサムネイル/Intel,定例アップデートで「いま力を入れているところ」を紹介
 45nmプロセスに続けてMaloney氏が取り上げたのは,モバイルである。
 米国や日本だけでなく,アジアや欧州など世界的にノートPC市場が伸びているなかで,「Santa Rosaは1000万台の出荷を達成した」と,その成功を強調。続けて次世代の無線技術である「WiMAX」に話を進めた。

 ご存じの読者も多いだろうが,IntelはKDDIなどと共同で,WiMAX事業――より正確にはモバイルWiMAX事業――を進める新会社を設立している。高速インターネット接続を広域にサービスできるWiMAX技術はIntelのみならず,多くの企業が注目しているが,Maloney氏は「2008年には,WiMAX技術がメインストリームになるだろう」と述べていた。現実問題としてインフラ整備の必要があるため,果たして2008年中にモバイルWiMAXが主流になっているかというとかなり微妙だが,技術的に実用段階へ入りつつあるのは確かだろう。

 Maloney氏はここで,日本の青年層はインターネットに携帯電話でアクセスしているが,満足度は低いというデータを示し,「現在のモバイル機器(※主として携帯電話を指している)では満足なインターネット体験ができない」と指摘する。通信速度の遅さはもちろん,画面の小ささ,ブラウザが持つ機能の貧弱さがその理由だ。

15〜24歳の日本人のうち,38%が携帯電話でインターネットにアクセスしているが,ユーザーのうち,満足している人は12%強しかいないというスライド
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Menlowプラットフォームの紹介(上)と,Moorestownの予告&概要(中,下)
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画像集#011のサムネイル/Intel,定例アップデートで「いま力を入れているところ」を紹介
 そこでMaloney氏は,次世代モバイルプラットフォーム「Menlow」(メンロー,開発コードネーム)をアピール。45nmプロセスで新たに設計される次世代の省電力CPU「Silverthorne」(シルバーソーン,開発コードネーム)をコアとしたMenlowプラットフォームは,2008年のリリースが予定されているが,このMenlowを利用する小型デバイスとして提案されているのが,「MID」(Mobile Internet Device」である。

 MIDについては2007年6月22日の記事で第一報をお伝えしているが,簡単にまとめると,Linuxをベースに,Webブラウザやメールクライアントを搭載した小型のネット専用機。PCベースのアーキテクチャなので,既存のWebブラウザやFlashプレイヤーなども,PCとまったく同じように利用でき,携帯電話では不可能な,“リッチなインターネット体験”が可能になるとされている。もっとも,「まだ曖昧な部分がある(It’s Fuzzy)」とはMaloney氏の弁で,まだ最終的な仕様は決定していないようだったが。

 なお,IntelはこのMenlowの先に,開発コードネーム「Moorestown」(ムーアズタウン)を用意している。Moorestownプラットフォームは,45nmプロセスのCPUコアやメモリコントローラ,グラフィックスコアなどを1チップに集積したSoC(System on Chip)をベースにしたもので,2010年ごろ登場の予定。Moorestown世代には,PCベースの携帯電話なども可能になると言われている。


 ここまで読んで,ゲーマーにはあまり関係がない話と思ったかもしれない。おそらくそれは,かなりの部分で正しい。だが,携帯電話,あるいはそれに近い小型デバイスがPCとして動作し,それがモバイルWiMAXでインターネットに接続できるようになれば,ゲームのトレイラームービーを通勤通学途中に見たり,4Gamerなどのニュース記事を自宅にいるときと同じ環境で閲覧したりできるようになるのだ。
 “ケータイ用ゲーム”や携帯ゲーム機で妥協することなく,いつもプレイしているPCゲームを遊べるようになる可能性すらあるわけで,そんな近未来を想像してみるのも面白いのではないだろうか。
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