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[OGC2008#15]「いい歳してゲームやって楽しいですか?」「楽しいです」そんなノリで大盛況の当世コンテンツ談義
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印刷2008/03/15 23:48

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[OGC2008#15]「いい歳してゲームやって楽しいですか?」「楽しいです」そんなノリで大盛況の当世コンテンツ談義

画像集#001のサムネイル/[OGC2008#15]「いい歳してゲームやって楽しいですか?」「楽しいです」そんなノリで大盛況の当世コンテンツ談義
 「Online Game & Community service conference 2008」(OGC 2008)で,数々の講演の最後を飾ったのがフリートークセッション,「コミュニティが生み出す創造事例と,CGMの可能性」である。
 「2ちゃんねる」「ニコニコ動画」のひろゆき氏と,日本技芸所属の若手論客・濱野智史氏,ゲーム/コンテンツ事情全般に明るいIGDA Japanの新 清士氏,そして現在は早稲田大学で客員助教授を務めるコンテンツ行政通の境 真良氏が打ち揃って,境氏の仕切りのもと,セッション名に関係あるんだかないんだか微妙な問答が繰り広げられた。

 このセッションは,まさしくOGC 2008を締めくくるお祭りのような企画で,会場BとCの仕切りを取り払って前方中央にテーブルを置き,来場者のために合計220席ほどが用意されたものの,それでも若干の立ち見が出る盛況ぶりであった。ちなみに,仕切りの取り払い作業が遅れた関係で,セッションは20分遅れで開始された。

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早稲田大学 客員助教授 境 真良氏
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 チューターを務める境氏が最初に出したお題は「最近お気に入りのコンテンツとともに,簡単な自己紹介を」というもの。新氏はこれに「コールオブデューティ4」と答え,ひろゆき氏はさる海外の動画サイトの名前を挙げた。インタビューでも話していたとおり,違法動画は本当にニコニコ動画以外で楽しんで(?)ほしいというスタンスの表明だろう。
 そんな口開けの話題をまるで生かすことなく(いや,あとで一部生きてくるのだが),文字どおりのフリートークが幕を開ける。濱野氏が話題展開のアングルとして梅田望夫氏とひろゆき氏を比較し,前者が「みんなシリコンバレー行ってインターネットで起業しろ」派なら,ひろゆき氏は「だらだら生きるためのWebサービス」派であると論評。当のひろゆき氏は「梅田さんに対談申し込んだら,断られたんですよね。今年はインプットの年にしたいからって。僕との対談はインプットにならないみたいで」と,軽妙な自己ツッコミで返し,早速会場を沸かせていた。

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日本技芸 濱野智史氏
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 同様に,当サイトに載ったインタビューでひろゆき氏が,コミュニティのライフサイクルを出身地である北区桐ヶ丘の衰退ぶりにたとえたくだりの鋭さに触れると,「僕は(桐ヶ丘のことを)そんなにひどくは言ってないですよ」と,会場の笑いを誘いつつ「そもそもみんな,なんでWebと現実世界を別のものと考えているのか,そちらのほうが不思議なんですよね。都市的な場があって,そこから辺境へと開拓が進んでいくのは,現在までの歴史として普通ですよね」と,いつものこともなげな口調で答える。また「この会場に集まっている人達だって,お互いに知っている同士なんてほとんどいないでしょう? もともと実社会だって匿名なんですよね」と,それを補足した。

 「2ちゃんねる」の成功理由を問われると,答えは「ほかに同じ機能のサービスがなくて,競争相手がいないからですね」で,そこから話題は「じゃあ,シェアを取りに行かねばならないニコニコ動画はどうなのか?」という方向へ展開する。ひろゆき氏は「もともとインターネットで動画を見る必要なんてないんですよ。画質も低いし」と,またも周囲を驚かす部類の正論から説き起こし,「それで,Webでしかできない楽しみ方を考えたうえで,みんなの“笑う姿勢”作りに努めたんですよ。いまからどの芸人が出てくるか分かってるとき,みんな笑う姿勢でいますよね?」と,ニコニコ動画の基本路線を説明した。

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ひろゆき氏
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 それに加え「2ちゃんねるは荊の道でしたが,ニコニコ動画はどこにも敵を作らないやり方を選んだから,ニコニコなんです。法廷に訴えるくらい怒っている人がいたら,ぜひ先に連絡してください」と述べ,また国会中継の動画を例に,著作権と著作隣接権の間で起きる顛倒を,現行制度の矛盾の例として挙げた。

 それはこういうことだ。官公庁の発行物や記録類に著作権がないことは,現行の著作権法にも明記されている。ところが,テレビで流される国会中継にはNHKの著作隣接権が生じてしまう。動画をアップロードした人に悪意がなく,また仮に国会議員が国会の模様を動画で見せることに賛成でも,NHKの権利がそれを許さず,事実上放送局の資産と化している。それは良いことなのか? というわけである。

IGDA 日本代表 新 清士氏
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 フリートークらしく,バトンがほかの人にわたると話題もガラッと変わる。新氏がひろゆき氏に「それよりいま,どんな生活をしてるの?」と問えば,「最近目覚まし時計を買いました」との答え。ニコニコ動画の運営では,なにか問題が生じたとき相談に乗るのが主で,週に2〜3回会議に出るといった感じだという。

 「新さんはふだん何してます?」との問い返しに新氏が前述の「コールオブデューティ4」を挙げたところ,「齢を重ねてくると,FPSとか辛くありません?」これは穏当な2発目である。そこで新氏が「いや,僕は勝ててますよ」と意気軒昂に答えると,話の意外な転がり方が面白かったのか,ひろゆき氏は「いい歳してゲームやってて,それで楽しいものですかね?」と,挑発的に笑いを取りに行く。もちろん,ひろゆき氏もゲーム好きで知られているので,この切り返しはその座の全員へと跳ね返っていくものだ。

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 話題はいつしか「なぜ我々は,女性や車に入れ上げないで,ゲームやったり難しい本を読んだりしているのか?」へと展開し,オタク論の色彩を帯びてくる。濱野氏は社会学者・宮台真司氏の著作を引いて,人が充実感を得るための材料が,全共闘時代でいえば政治だったし,最近では半ば自覚的な“終わりなき自分探し”や,ニコニコ動画で一緒に盛り上がることというふうに,移り変わっているのだという図式を示した。

 ひろゆき氏はオタク的生活様式がいつしか社会に公認されたことを含め,世の人々の感性がここ5年ほどで大きく変わったこと指摘し,それに合流する議論として新氏は,最近のゲームが「何か意味のありそうな図式」を提示することに,長けるようになってきている点を併せて挙げる。具体的には,ランキングや行動履歴をうまく使ってプレイヤーのモチベーションを刺激し,持続させるということだ。

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 興味の持続という論点を少しアレンジし,また自身の,ゲームやったり,DVDを観たり,メールをチェックしたりでなんとなく退屈しない時間が過ぎていくという日常を顧みつつ,ひろゆき氏が口を開く。「昔の日本映画を観ていると,その間(ま)を退屈に感じちゃいますよね? 人が“退屈を感じるまでの時間”が次第に短くなっているわけですよ。その意味でニコニコはさらに(編注:コメントシステムによる見どころの充填で)既存のメディアを退屈に感じさせちゃう方向へ人々を洗脳しているわけで,実は悪い物かもしれないなあ」と,例によって自己言及的なオチを付けながらも,重要な視点を提示する。

 ここまでで予定の時間を使い切っていたため,会場からの質問受付は1件に限定された。それに応じたのは駒澤大学の山口助教授で,ひろゆき氏に「2ちゃんねる,ニコニコ動画に続くのは,どんなものになると予想するか?」という質問をぶつけた。
 ひろゆき氏は先ほどの視点や世代差の認識に基づきつつ,「2ちゃんねるは“活字的”メディアで,5年前の調査で利用者の平均年齢は30歳を超えていました。それに対してニコニコ動画は勝手に流れる動画に,これも流れていく『ちょwww』とかいうコメントを付けて笑いどころを共有する仕組みだから,もっと若い層を中心としている。その延長で考えると,言葉でなく,入力すらせずに,映画のクライマックスシーンを見たときの感情を,身近な何人かに伝えられるとか,そういうものが求められていくんじゃないかなあ」と,実にひろゆき氏らしい論理的な答えを導き出していた。

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 さて,セッションを締めくくるのはチューターである境氏が出したお題「今後,世の中的に何が“来る”と思うか?」だ。ひろゆき氏はさきほどの話題との重複を避けつつ,「我慢するのに慣れていない自分が,次に何かやるとしたら,日本にいない可能性がある。先の見通しが暗い国よりも(中国やインドなど)若い人がいっぱいいる国でやったほうがいい」と,なかなか辛辣な意見。新氏は自身の専門分野に沿って「今年ウィル・ライト氏のSporeが来るとして,そのライトな模倣作品が続々と現れると思う」と答えた。濱野氏の答えは「老人向けサービス」で,これはNHKの趣味の番組が同好の士の募り方にまで踏み込んでいるのを見て,驚いたからだという。つまり,老人向けの掲示板やSNSのようなものが,世の中に必要とされている,と見たわけだ。
 これを聞いた境氏が「じゃあこれから日本では,老人向け育成ゲームが流行し,失望したひろゆきさんが日本を出て行くという感じですね?」と,会場の笑いを取ったところで,セッションは終了となった。

 こうして主な流れを整理してみても,やっぱりぜんぜんCGM談義ではなかったわけだが,いずれ劣らぬメンツを揃えた“雑談”だけに,日本のコンテンツ市場を構成するファクターや,その考え方が随所にちりばめられた,刺激的な会話になっていた。
 テレビクルーも含めた聴衆二百数十人のなかには,「ひろゆき氏をぜひナマで見てみたい」という動機の人も多かったものと思われるが,その眼前で繰り広げられた会話は,エンタテインメント性と示唆性を併せ持つものだった。
 チューターの境氏がフリートークの途中で述べた言葉「ゲームだけがゲームなんじゃなくて,あらゆるものはゲームとして展開できる」を地で行く感じの,不思議なセッションであった。

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    Call of Duty 4: Modern Warfare(Macintosh)

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