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印刷2007/12/21 15:44

連載

奥谷海人のAccess Accepted

 12歳の少年が起業するなど,何かと話題を振りまいているリアルマネートレード(RMT)の世界。RMT市場は2000億円にも及ぶ巨大なものに発展しているという。だが,そのすべてがアンダーグランドを流通しているため,いろいろと問題も多い。そこで,ゲーム会社の中にはRMT業者と提携し,少しでも“失った利益”を回収しようというところも現れはじめており,このほどその真打ち的な存在の会社がニューヨークに設立された。

Access Accepted第154回:リアルマネートレードもついに妥協の道へ
なくならないリアルマネートレードの問題

 「需要がある限り供給される」というのは,世の中の自然な法則。これはオンラインのバーチャル世界にも当てはまり,常に問題視されながらもRMTは存在し続けている。

 RMTと一口にいっても,「World of Warcraft」でゲーム内のアイテムを5ドルで購入するとか,「ファイナルファンタジーXI」で600円を100万ギル(ゲーム通貨の単位)に換金するというようなもののほか,お金を払って「EverQuest 2」のキャラクターを好みのレベルにまで育ててもらうことや,「Project Entropia」というゲーム内のリゾート区画に,10万ドル(約1100万円)も投資する(参照:「第147回: 大バーチャル不動産王現る」)というようなことまでが,これに含まれる。

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RMT業者はなくならない。最近では,シリコンバレーで12歳の小学6年生アージュン・マータ(Arjun Mehta)君が,父親とともにPlaySpanというRMT会社を起業して,韓国や台湾のベンチャー投資家より650万ドル(約7億3600万円)もの出資を受けるに至った。子供社長として,アジア広域で活動するようだ

 Project Entropiaや「Second Life」のように,プレイヤー間もしくはプレイヤーとサービスプロバイダとの間での取引を,ゲーム内外で公式に認めている例もある。だが,RMTの多くは第3者である専門業者が介在し,いわゆる闇市場で行われるのが通例だ。MMORPGには,ゲームをプレイするに際して,プレイヤーとプロバイダの間で交わされるEULA(End User License Agreement/使用許諾契約)というものがあり,ほとんどの場合,ゲーム内のデジタルコンテンツの譲渡や改ざんを禁止する内容が盛り込まれている。しかし,その所有権に関しては法的に整備されていないため,その隙をついて,さまざまなサービスがMMORPG市場の成長と共に生まれてきた。

 RMTの問題として挙げられることが多いのは,RMT業者が事実上雇用している,ゴールドファーマーとも呼ばれる人達の存在だろう。ゴールドファーマー達は,BOTと呼ばれるマクロツールによって24時間キャラクターを稼動させ,他人のアイテムをルートしたり,キャンピングによってモンスターの狩場を独占するというようなことを行う。実際に見かけたことがある人も多いだろうが,このような行動は,一般のプレイヤーに不快感とともに実害を与える。また,巨額のゲーム内通貨を生みだし流通させることによって,ゲーム内の経済にも影響がおよぶなど,プロバイダにとっても深刻な問題が多い。

 もっとも,先に述べたとおり需要があるから供給する側も成長するわけで,闇市場であるためリサーチ会社によってバラつきはあるものの,New York Time誌は18億ドル(約2000億円)にもおよぶ巨大市場になっていると試算しているのだ。

 

ゲームプロバイダ達との妥協を模索したRMT業者

 もちろん,ゲーム会社やプロバイダも,このようなRMT業者の介在に対して無策なわけではない。Entoropia UniverseやSecond Lifeのように,RMTを認めてゲームをデザインしたもの以外では,かなり早くから手を打っていたのが,EverQuest IIや「Star Wars Galaxies」などを抱えるSony Online Entertainmentだ。同社は,2005年7月にSony Exchangeという独自サーバーでのオンライントレードサービスを立ち上げ,ゲーム内アイテムの売買を公式に行うようになった。サービス立ち上げから2006年6月までの一年間に,187万ドル(約2億1200万円)もの利益を得たことが報告されている。

 さて,ここからが本稿の主題ともいえるトピックだが,12月17日,ニューヨークをベースにするRMT企業であるLive Gamerが発足した。Live Gamerは,「プレイヤー同士が,より安全で明確なバーチャルアイテムの取引を行えるような場所の提供」をうたって設立された会社だ。特筆すべきは,Sony Online Entertainmentのほかにも,「Anarchy Online」や「Age of Conan: Hyborian Adventures」のFuncom,カジュアルゲームサイト「Gopets」で有名なGoPets,「2Moons」や「9Dragons」などアジア系MMORPGを北米市場に持ち込んだAcclaim,シンガポールに進出して新たな市場開拓に挑むドイツの10Tacle Studios,そして「Hellgate: London」でお馴染みのFlagship Studiosが出資しているPing0 Interactiveといった,名のある会社が提携を表明していることだろう。

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Live Gamerは,複数のゲーム会社の信任を得て発足した新手のRMT業者である。独自のツールを開発し,提携会社と利益を分配するという。RMTを表に出したことで,2000億円とも言われる巨大な闇市場に,光が差すことになるのだろうか

 Live Gamerの仕組みは,提携したゲーム会社に自社開発のツールセットを提供し,ゲーム内経済を維持できるようにすることで,詐欺行為を防ぐこともできるという。Live Gamer社長,アンドリュー・シュナイダー(Andrew Schneider)氏は,「これほど大きい経済活動の中で,何百万という利用者の要望に応えるだけの,合法的な運営構造が必要なのは明確です。Live Gamerは,現実的な市場となんら変わることのない,多様性,安全性,そしてプロフェッショナリズムを備えたプラットフォームを開発し,すべてのプレイヤーが満足できるように,ゲーム会社と手に手を取り合いながら頑張っていきます」と述べている。

 個人的には,Live Gamerのように,ゲームを提供する側とRMT業者が協力する形で問題に対処するというのは,急を要する問題への一時的な対処としか考えられない。確かに,MMORPGを運営している会社が協力すれば,RMT市場の安全性は高まり,運営会社はいままで闇に消えていた利益のいくばくかを手に入れられるだろう。だが,Live Gamer発足時の記事で触れられていたとおり,ゴールドファーミングによって作り出されたアイテム/通貨と,通常のゲームプレイで生じた余剰アイテム/通貨の区別はできないため,これがそのままゴールドファーマー撲滅にはつながらないし,それはLive Gamerの狙いでもない。キャラクターを成長させることや,苦労してアイテムを手に入れる過程などに“ロールプレイングゲームの楽しみ”を感じる人達には,「安全なRMT市場」を構築してもらうことよりも,その楽しみを奪う存在である,「ゴールドファーマーの問題」を解決してもらいたいと望む人のほうが多いだろう。そして,そんなことはオンラインゲームを運営している会社であれば百も承知のはずなのだ。

 結局のところ,Live Gamerと提携した会社の本音は,食い荒らされる市場を黙ってみているよりはマシといったところだろう。Live Gamerは,決して公平なバーチャル世界の実現,「ゲームエコノミー」の概念を抜本から変革させるものではないのだから。

 とはいえ,Live Gamerは既存の多くのRMT業者とは違い,自分達のノウハウや技術を盛り込むことで,いわゆるウィン/ウィンの関係を構築しようとしている。今後,具体的にどのように運営されていくのか注目していきたい。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。クリスマスが近づいていることもあり,家族にどんなプレゼントを用意しているのか聞いてみたのだが,返ってきた返事は,自分のデスクトップPCがいかに不調かという話。最近は,ゲームには向かないノートPCを引っ張り出して,なんとか頑張っているという。さすがに仕事に影響するので,新しいものを買ったほうがいいのではと提案してみたところ,奥さんのボーナスで買ってもらうと言い出す始末。奥谷家の子供達にプレゼントが用意されるのかどうか,不安になってきましたが,なにはともあれ,メリークリスマス!

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