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【Jerry Chu】ゲームには「駆け引き」が不可欠なのか
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印刷2018/01/13 12:00

連載

【Jerry Chu】ゲームには「駆け引き」が不可欠なのか

Jerry Chu /  香港出身,現在は“とあるゲーム会社”の新人プログラマー

Jerry Chu「ゲームを知る掘る語る」

Twitter:@akemi_cyan


ゲームには「駆け引き」が不可欠なのか


イラスト提供:いらすとや
 ゲームは「駆け引き」である。この言葉を何回も耳にしてきた。

 敵を倒す。ハイスコアを狙う。最速で目的地に辿り着く。
 ゲームには目的があり,それを達成するためにプレイヤーは攻略法を練る。リスクを冒して,より大きなリターンを狙うのか。それとも安全で確実な方法を選ぶのか。いかにすれば,最小限のリソースで最大限の成果を得られるのか。
 「ゲームのルールによって生まれる“駆け引き”こそが“ゲーム性”である」という意見を聞いたことはないだろうか。

 だが,当然ながらゲームは駆け引きだけではない。
 現在,20代である筆者はカットシーンやキャラクターボイスといった,物語を豊かにする演出が盛り込まれたゲームを好んでプレイしてきた。そのためか,ゲームは駆け引きというより,「物語」というイメージが強い。
 ゲームはストーリーやキャラクターを描くもので,駆け引きを楽しむゲームプレイは物語の一部である。このように考えるゲームファンは少なくないだろう。


「駆け引き」と「物語」


 2017年にリリースされた「Prey」「Tacoma」は,ゲームにおける「駆け引き」と「物語」の違いを鮮明に示している。

 「Prey」と「Tacoma」には共通点が多い。
 舞台は近未来。プレイヤーは荒廃した宇宙ステーションを一人称視点で探索しつつ,かつての居住者の生活を手がかりに隠された謎を解明していく。しかし,ゲームの内容はまったく異なるものだ。

「Prey」を手がけたのは,「Dishonored」シリーズの開発元として知られるArkane Studiosだ
Prey

 「Prey」の舞台となる宇宙ステーションに「ティフォン」(Typhon)と呼ばれる凶暴な異生物が巣食い,乗組員のほとんどが命を落としてしまった。プレイヤーは地獄と化した閉塞空間から脱出を目指すことになる。「Bioshock」や「System Shock 2」を彷彿とさせる,アクションアドベンチャーゲームである。

 宇宙ステーションで生き残るにはさまざまなアイテムが欠かせない。ライフを回復させる食料と医療品。異生物を退けるための武器と弾薬。装備の強化や修理に必要な部品。なかでも最も貴重なものが,主人公に新スキルを習得させる「ニューロモッド」(Neuromod)だ。
 こうしたアイテムはあちこちで手に入るが,数に限りがある。そのため,むやみやたらには使えない。

 アイテムを集めるコツは貯金と同じだ。つまり,消費量を抑えて取得量を増やせばいい。
 弱い敵には銃を使わず,鈍器で殴り倒す。自律砲台の射線上に誘い込めば,弾薬を消費することなく敵を蹴散らせる。不意打ちを狙えばダメージを受けることが減り,医療品を温存できる。もちろん,タダで傷を癒せる救急ボットは積極的に利用したい。
 正しい戦略をもって臨めば,アイテムの消費を抑えられる。

不要なものをリサイクルして,有用なアイテムに作り変えるリサイクル機とアイテム製作機
Prey

 一方,アイテムの取得量を増やすにはどうすればいいのか。宇宙ステーションに設置されているリサイクル機とアイテム製作機を活用すればいい。
 リサイクル機はあらゆるアイテムを原材料に変換し,アイテム製作機は原材料からアイテムを生成する。不要な電子部品やゴミをリサイクルすることで,弾薬や医療品などの有用なアイテムを作り出せるのだ。

 そして,何よりも探索が重要である。入手した武器や食料はそのまま使えるが,不要なものもリサイクルすれば役に立つ。エリアをくまなく探索して,アイテムを集めていこう。

サブクエストをクリアしたりエリアを探索したりすると,貴重なアイテムが手に入る
Prey

食料かアイテムか。限られたインベントリのスペースを管理するにも駆け引きが生じる
Prey

 異生物は周りの物体に擬態するため,いつ襲われるのか分からない。さらに分身したり,電撃を放ったり,生物や機械を操ったりと,さまざまな能力を持つ強敵も現れる。異生物から乗組員を守るはずの自律砲台が,主人公に牙を剥くこともある。
 過酷な環境下でのサバイバルには,アイテムを温存しながら戦うことが不可欠だ。「アイテムの取得と消費」という駆け引きが,「Prey」におけるゲームプレイの軸となる。

「Prey」
Prey

 「Tacoma」の体験は,「Prey」とは正反対のものだった。
 主人公の目的は,不慮の事故によって機能停止に陥った宇宙ステーションに乗り込み,残されたデータを回収することだ。宇宙ステーションには生活区や生物医学区,エンジニア区などの区画に分かれているが,最初に入れるのは1つだけ。プレイヤーはそこでデータを回収すれば,次の区画に行ける。

「Tacoma」を開発したのは,「Gone Home」を手掛けたFullbright
Prey

 データの回収方法は簡単だ。区画の入り口には端子があり,そこにタブレット端末を差し込めばデータの送信が始まる。データを送信している間,プレイヤーは部屋の中でAR映像として記録された乗組員達の行動や会話が見られる。
 突如の事故に困惑する人。酸素が尽きるまで必死に挽回策を講じる人。苦渋の選択を迫られる人。最後の一時を仲間と共に過ごす人。AR映像を通じて,プレイヤーは乗務員達が消えるまでの出来事を目撃していく。

「Tacoma」
Prey
Prey

 「Prey」と同じく,プレイヤーは部屋を探索したり,乗組員のメールやチャットを読んだりして,彼らの生活や人間関係の一端をうかがい知れる。だが,「Tacoma」には戦闘やアイテムを集めるといった要素が一切ない。アクションやパズルといったゲームらしい要素は最小限に留まり,ストーリーや探索に主眼を置かれている。
 実はプレイヤーがほとんど何もしなくても,ゲームをクリアできる。タブレット端末にデータが送信される際,AR映像を再生するとダウンロード時間が短くなるが,ただ棒立ちしているだけでもダウンロードは進んでいく。

プレイヤーが何もしなければ,データの回収は緩やかに進められる
Prey

 なぜ,このようなゲームデザインが採用されたのだろうか。
 「Tacoma」のデザイナーを務めたNina Freeman氏によると,開発初期はパスコードや鍵を探して,次々にエリアを開放していくようなゲームだったそうだ。しかし,テスターに遊んでもらったところ,彼らはパスコードを探すことばかりに専念して,ストーリーに目を向けてくれなかった。AR映像が描くストーリーに注目してほしいのに,プレイヤーは次のエリアを開放することで頭がいっぱいになっていた。

 ストーリーを順番に体験してもらうには,探索可能なエリアを制限する必要がある。しかし,新しいエリアを開放したいばかりに,ストーリーが軽視されるのは本意ではない。
 こうしたジレンマを解消するために開発チームが思いついたのが,「データの送信が完了したら,次のエリアを開放してくれる端末」(Nina Freeman氏は“sync device”と呼んでいる)だったそうだ。棒立ちのままでもいずれはデータの送信が終わるが,エリアを探索してAR映像を再生すると転送速度が速まる。
 そのため,プレイヤーは「パスコードを探さなくてはいけない」というプレッシャーがなくなり,「どうせ待つなら,このあたりを歩いてみるか」とリラックスした気持ちで探索するようになったという。

※Nina Freeman氏の発言は「Gamasutra」のストリーミング映像より引用。該当箇所は20分00秒から22分30秒あたり。

 次のエリアを開放することに集中してしまい,ストーリーには注意を払わなくなる。これは,まさに筆者が「Prey」をプレイして実感したことだ。

 「Prey」のストーリーと世界観には十分な魅力がある。記憶を失った科学者として,壊滅した宇宙ステーションで目覚める。自分は何者なのか。どうしてここにいるのか。異生物の正体とは? こうした謎を解明するのも本作の目的だ。
 だが,サバイバルに重点が置かれているため,ストーリーより駆け引きの存在感が大きい。いつ襲われるかが分からないから,立ち止まって周りを見る余裕がない。ひたすらアイテムやパスコードを探し回ることになり,まるでストーリーは二の次になってしまったようだ。

「Prey」
Prey

 一方,「Tacoma」はアイテムやパスコードを探す必要をなくした。戦闘もなく,ゲームオーバーになることもない。これなら安心してストーリーにのめり込める。
 パスコードがないとアクセスできない場所はあるが,見逃したとしてもペナルティは発生しない。強力なアイテムが手に入るというわけでもない。「このキャラクターのことをもっと知りたい」というシンプルなモチベーションから,エリアを探索することになる。
 「Tacoma」はストーリーとキャラクターに焦点を絞るために,戦闘や謎解き,リソース管理といった要素をあえて排している。

「Tacoma」
Prey

 まったく探索しなくてもクリアできるという「Tacoma」のゲームデザインは,一見常識外れに映るだろう。だが,ストーリーを重視するという観点から考えれば,これは大胆な妙策だと筆者は感じる。


ゲームは「駆け引き」にも「物語」にもなれる


 「Prey」は戦闘やステルス,謎解き,リソース管理といった要素が融合したアクションアドベンチャーゲームとして申し分のない傑作だ。一方,「Tacoma」はこうした要素をあえて排して,ドラマティックな物語を主軸に据えている。
 「宇宙ステーションを一人称視点で探索する」という共通のテーマを持ちながら,「Prey」と「Tacoma」は対極に位置している。

 似て非なる2タイトルだが,共に2017年にリリースされており,好評を得ている。これは,ビデオゲームの裾野の広さを物語っているのではないか。
 単一の定義に収まらないほどに,ゲームの在り方は千差万別だ。「Prey」 のような“駆け引き”に満ちた作品だけでなく,「Tacoma」 のような“駆け引き”の極めて薄い作品も存在する。さらに,“駆け引き”にも“物語”にも当てはまらない作品だって多数存在する。
 「ゲームは駆け引きである」「ゲームは物語である」といった単一な定義にとらわれず,頭を柔軟にしてゲームに接するべきである。「Prey」と「Tacoma」をクリアして,そう思う。

■■Jerry Chu■■
香港出身,現在は“とあるゲーム会社”の新人プログラマー。中学の頃は「真・三國無双」や「デビルメイクライ」などをやり込み,最近は主に洋ゲーをプレイしている。なるべく商業論を避け,文化的な視点からゲームを論じていきたい。
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