企画記事
ここ数年は,中小開発チームの専用ジャンルになってしまったような印象を受けるが,アクション要素が強い作品が増え,「Heavy Rain」や「Mirror's Edge」など期待できそうなゲームがかなり控えているのがこのジャンルである。
また,詳細は明らかになっていないものの,Al Lowe(アル・ロウ)氏がSierraに返り咲いて「Leisure Suits Larry」新作の製作に関わったという話もあるし,「Maniac Mansion」や「Monkey Island」で,1990年代のLucasArtsを盛り立てたRon Gilbert(ロン・ギルバート)氏も「Death Spank」という新作を手掛けている。古い時代の著名な開発者達が,こぞって復活を遂げつつあるジャンルでもあるのだ。
Alone in the Dark
1992年にリリースされた「Alone in the Dark」は,初めて3Dキャラクターを利用したゲームとして知られ,サバイバルホラーの先駆的な存在だ。その第5弾となるのが,オリジナル作品と同タイトルがつけられた本作である。
本作は,主人公Edward Carnby(エドワード・カーンビー)が,怪奇現象が巻き起こるニューヨークを舞台に活躍するという内容だ。ストーリーが30分から40分程度で終わる小さなエピソードの複合体で形成されているのが特徴で,エピソードの最後には,次のエピソードで何が起こるかが,ドラマの次回予告のように紹介される。また,中断後にゲームを始めると,それまでにプレイヤーがたどってきた様子を短編映画のようにまとめて見せてくれるという機能がユニークだ。
American McGee’s Grimm Tales
「American McGee's Alice」で知られるAmerican McGee(アメリカン・マギー)氏の新作「American McGee’s Grimm Tales」では,「シンデレラ」「白雪姫」「赤ずきん」といった,誰もが知っているグリム童話がダークに描かれる。アメリカのダウンロード販売サイトGameTapで,独占的に先行販売される予定だ。
American McGee's Grimmは,Unreal Engine 3が採用されており,カートゥーンシェーダーを活用することで,おとぎ話の世界をうまく表現している。ゲームは24種に分けられたエピソード形式になり,各話が30分ほどの短いゲームにまとめられて語られていく。Aliceと同じ脚本家によってストーリーが練り込まれており,ハッピーな世界を邪悪なものにするのが主人公であるプレイヤーの使命だ。ナイフや松明など,ゲーム内にあるさまざまなオブジェクトを利用して相手を攻撃でき,平和で温かだったおとぎ話の世界が,血みどろの世界へと変貌していく。
Gray Matter
「Gabriel Knight」シリーズで知られるJane Jensen(ジェーン・ジェンセン)氏が,多くの正統派アドベンチャーゲームを輩出するdtp Entertainmentと組んで開発しているのが「Gray Matter」である。
本作の主人公は,手品師を目指し,大道芸で身を立てていたアメリカ人サマンサ。彼女は,イギリス国内を旅している最中に,故障したバイクを直すために近くにあった屋敷へ立ち寄り,そこの主人であるスタイルス博士に,新しい執事と間違われてしまう。サマンサは,成り行きでスタイルス博士の屋敷での生活を始めるのだが,そこで博士が怪しい生体実験を行っていたという過去を知ってしまう。サマンサは,6人の被験者の行方を追って,イギリス各地を巡ることになるのだ。
ゲームはポイント&クリックというオーソドックスなゲームシステムになっており,ジャンルを大幅に進歩させるというようなものではない。だが,ジェンセン氏らしい,非常に凝ったストーリーが用意されており楽しめそうだ。
Heavy Rain
「Heavy Rain」は,2006年5月にPLAYSTATION 3の新作として技術デモが公開され,その女性キャラクターのリアルさが話題になったアドベンチャーゲームだ。長い間PLAYSTATION 3専用とされていたものの,最近ではPCでもリリースされるという噂が出てきている。正式に発表されたわけではないが,PC版発売の期待を込めて紹介しよう。
メリー・スミスという女性が主人公ということは公表されているものの,そのストーリーについてはまったく明かされていない。だが,ポスターには「The Origami Killer」という副題が書かれていることを考えると,サスペンス系の物語になりそうだ。
公開された技術から,Quantic Dreamsの技術力の高さが分かり,キャラクターが生き生きと表現されている。とくに,メリー・スミスの目からこぼれ落ちる涙のリアルさは衝撃的で,ゲームの内容が公開される前から話題になっている。
Mirror's Edge
バトルフィールドシリーズで良く知られたEA DICEの最新作が「Mirror's Edge」だ。本作は,一人称視点であるために誤解されがちだが,FPSではなくパズル要素の多いアクションアドベンチャーである。
Mirror's Edgeは,いたる所に監視カメラが設置され,頻繁に検問が行われているという,市民の自由が奪われた架空の国家が舞台となる。そんな息苦しい国で,政府が禁止する物や本音の書かれた手紙などをほかの人へ渡すには,“ランナー”と名付けられた運び屋を使うしかない。プレイヤーはこのランナーとなり,外壁をよじ登ったり,障害物を飛び越えたりしながら,依頼された荷物を運ぶのである。追跡者を振り切るためには,ゲーム内に登場するさまざまな道具を利用する必要があり,ただ走るだけでなく,瞬間的な判断力も必要になりそうだ。
Tomb Raider:Underworld
「Tomb Raider: Underworld」は,トゥームレイダーシリーズの8作目。ストーリーは「Tomb Raider: Legend」のエンディング直後からスタートするため,ララ・クロフトはイギリスの豪邸に帰って休む暇もなく,マヤ文明の秘密を暴くために新たな旅に出るのだ。
本作のために開発されたゲームエンジンは,気候に関連した表現を得意としており,雨が降ると道がぬかるんだり,稲妻が空を駆けめぐったりする。また,ぬかるみを走っていくうちにララの服装が汚れていくといった演出などもあり,天気の変化をリアルに感じられそうだ。さらに,シリーズで初めてキャラクターアニメーションにモーションキャプチャーが採用され,壁に背中をつけて奥をうかがうといったシーンで,滑らかな動きが再現されるという。ララの魅力がさらにアップしそうである。
A Vampyre Story
「A Vampyre Story」は,ヨーロッパらしいアートが満載で,絵本でも見ているかのような気分になってくる作品だ。物語は,ドラキュラの国ドラキシルバニアの城に幽閉されてしまった駆け出しのオペラ歌手,モナを中心に展開する。城の主であるヴォン・キーファー男爵によって吸血鬼にされてしまったモナだが,オペラ歌手として舞台に立つ夢が捨てきれず,友達となったコウモリのフロデリックと共に,この奇妙な城からの脱出を試みるのである。
本作の開発を指揮するのは,「The Curse of Monkey Island」でリードアーティストを務めたBill Tiller(ビル・ティラー)氏だ。マップは2D,キャラクターは3Dというクラシカルなポイント&クリック型アドベンチャーゲームで,プレイヤーは,主人公のモナを誘導していき,城からの脱出を目指す。
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