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Logicool G「G633」レビュー(前編)。ロジクールの新しいゲーマー向けヘッドセット,その完成度は異様なほど高かった
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印刷2015/09/28 05:00

レビュー

「ロジクールのサウンド製品」のイメージを覆すかもしれない完成度に迫る

G633 Artemis Spectrum Surround Gaming Headset

Text by 榎本 涼


G633 Artemis Spectrum Surround Gaming Headset(国内製品名:G633 RGB 7.1 サラウンド ゲーミング ヘッドセット)
メーカー:Logitech International
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター
電話:050-3786-2085
メーカー直販価格:2万130円(税別,送料無料)
Logitech G/Logicool G
 2015年9月25日,「Logicool G」(日本以外では「Logitech G」)の新作となるゲーマー向けワイヤードヘッドセット「G633 Artemis Spectrum Surround Gaming Headset」(国内製品名:G633 RGB 7.1 サラウンド ゲーミング ヘッドセット,以下 G633)が発売となった。
 全世界から報道関係者を集めて発表会を行い開発現場ツアーまで実施するほど,Logitech International(以下,Logitech)はこの新製品に自信を持ち,また販売にあたって気合いも入っているようだが,いよいよ,実機検証の時間である。

 前編となる本稿は,「ステレオヘッドセット」としての基本性能をチェックする。バーチャルサラウンドサウンド周りの実力は,後日掲載予定の後編でテストしたいと考えているので,この点はあらかじめお断りしておきたい。


USBとアナログの両接続が「排他ではない」G633


 G633の製品概要は,発表時点におけるレポート記事が詳しいが,基本仕様を簡単にまとめると,本体は,PCとはUSB接続,PlayStation 4(以下,PS4)やモバイルデバイスといったそのほかのデバイスとはインラインリモコン付きの4極の3.5mmミニピンケーブルで接続できる,ワイヤードヘッドセットだ。

G633のケーブルはUSB,アナログとも着脱可能。左耳用エンクロージャと接続する仕様だ。ケーブルはいずれも布巻き仕様となっている
Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G

※2015年10月27日追記 4Gamerでは,Logitechから「製品版では布巻き仕様のケーブルが付属する」と聞いたため,そのように記載しておりましたが,その後,複数の読者から「付属のケーブルがビニール皮膜のものだった」という連絡を受けました。そこで日本法人であるロジクールに確認したところ,「初回ロットには,ビニール皮膜のものが付属する」という回答が得られたため,注意を喚起すべく,追記します。ロジクールによれば,次回ロット以降,どこかのタイミングで布巻き仕様に切り替わる予定で,4Gamerが入手したものは,その試作品であるとのことです。

Logitech G/Logicool G
G633と「DUALSHOCK 4」の接続例。なお,PS4はUSB接続型ヘッドセットもサポートする関係から試してみたところ,G633はPS4でもUSB接続のステレオヘッドセットとして利用できた。ただし,バーチャルサラウンドなど,PCとUSB接続したときのみ利用できる機能は(当然ながら)利用不可
Logitech G/Logicool G
左耳用エンクロージャの背面側。写真一番右がUSB/アナログ切り替えスイッチで,その左に4個並んだボタンはカスタマイズ対応の[G1]〜[G3]およびマイクミュートのオン/オフ切り替えとなっている。一番左は出力音量の調整用ダイヤルだが,これも利用できるのはUSB接続時のみである
 ここで重要なのは,USBとアナログの両接続が排他ではなく,同時利用できるということ。G633にはミキサーが内蔵されており,2系統同時に入力できるため,PCとUSB接続しているときにも,別途アナログケーブルでスマートフォンと接続しておけば,着信時にG633からインラインリモコンで受話可能。あるいは,PS4やXbox One(※Xbox Oneと接続するには「Xbox One Stereo Headset Adapter」が必要)でパーティメンバーとボイスチャットしながら,PCゲームを“音入り”で聞いてプレイする,なんてことも行える。

 G633の左耳用エンクロージャ背面側には,ボタンや音量調整用ダイヤルといった操作系があり,これらは基本的にPCとのUSB接続時用という扱いなのだが,その一番上にある「USB/アナログ切り替えスイッチ」が「PC/3.5MM」スイッチとして用意され,入力を切り替えるためのものでないことは理解しておきたい。どちらかといえばこれは,「USBサウンドデバイス機能のオン/オフスイッチ」であり,これを「3.5mm」にすると,USBサウンド機能は使えなくなる。
 なお,4個用意されるボタンのうち3個([G1]〜[G3]ボタン)は,カスタマイズが可能だが,それについては後述したい。

Logitech G/Logicool G
付属のUSBケーブルは,G633と接続する側のMicro-B端子にツメが設けられており,ちょっとしたテンション程度では抜けにくくなっている
Logitech G/Logicool G
アナログケーブルの端子はリングがLogitech G/Logicool Gカラーの水色になっていた。なかなか芸が細かい

 ケーブル長はUSBのほうが実測約3m,アナログのほうが同0.92m(※いずれも端子部除く)。後者に用意されたインラインリモコンは,G633の接続端子から実測約0.16mのところにある。クリップが付いているので固定は可能だが,ちょっと手前すぎるため,リモコンを目視しながら操作するのはなかなか難しい。この点は注意が必要だろう。
 なお,インラインリモコンにはマイクが内蔵されており,側面にあるスライドスイッチで,G633側のマイクを使うかインラインリモコン側のマイクを使うか選択できるようになっている。これは,USB接続時にG633側のマイクがPCに占有され,別途アナログ接続されるスマートフォンの通話には使えなくなるためだ。インラインリモコン側のマイクを使うようにしておけば,2つのマイクを同時に利用できるわけで,これは面白い。

スライドスイッチによりブーム側とインラインリモコン側のマイクを切り替えられる。スマートフォンではインラインリモコンに内蔵されるマイクを使い,PS4やXbox OneではG633側のマイクを使う,といった感じだ(左)。もう片方の側面にはマイクミュートの有効/無効切り替えスイッチと,出力音量の調整用ダイヤルがある(右)。右の写真で受話兼音楽再生/停止用ボタンの右に見える溝のところがマイクだ
Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G

Logitech G/Logicool G
 いきなり接続周りの話から入ってしまったが,外観もチェックしておこう。
 その見た目は,Logitech G/Logicool Gが「G-Series」と名乗っていた頃からある「Logitech/ロジクール製のゲーマー向けヘッドセットらしさ」を踏襲しつつ,高級感が追加された,といったところだ。
 本体は非光沢のブラックとグレーを基調としつつ,エンクロージャ(=ハウジング)とヘッドバンド&スライダー部をつなぐアーム部分は光に当たると鈍く光るパーツの採用によって,見た目の統一感と耐久性の向上が図られている。

Logitech G/Logicool G
搭載されるスピーカードライバーは新規開発されたPro-G
Logitech G/Logicool G
開発現場レポート記事より,エンクロージャに内蔵されるスピーカーボックス
 搭載するスピーカードライバーは,G633,およびG633の派生モデルとなるワイヤレスモデルで,まだ具体的な発売時期が明らかになっていないワイヤレス対応モデル「G933 Artemis Spectrum Wireless Surround Gaming Headset」(国内製品名:G933 ワイヤレス 7.1 サラウンド ゲーミング ヘッドセット,以下 G933)用に新規開発された「Pro-G Audio Driver」(以下,Pro-G)である。
 その口径は,ゲーマー向けのオーバーヘッド型ヘッドセットに採用されるスピーカードライバーとしては標準的な40mm径なのだが,それにも関わらずエンクロージャが大きく見えるのは,エンクロージャの中にスピーカーボックスが内蔵される二重構造となっており,そこにPro-Gドライバーが組み込まれる仕様になっているため,結果,厚みが実測約47mmもあるのと,イヤーパッドの厚みが実測で約20mmもあるからだろう。

エンクロージャ&イヤーパッド部の厚みはこんな感じ(左)。内側は,実測約45(W)×75(D)mmあるので,イヤーパッドが耳たぶに当たって不愉快ということはない。表面は密度の高いメッシュ素材でできており,筆者は肌触りがよいと感じた。右はイヤーパッドを取り外したところで,脱着は簡単
Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G

マイクブームは,工場出荷時,引っ張り出すための水色シールが巻かれていた。使うときはもちろん剥がすのが正解
Logitech G/Logicool G
 マイクはブームごと畳んでエンクロージャに収納できるタイプ。使うときは引き出してから伸ばす,二段構えになっている。伸ばすと実測で約30mmほどブームが伸び,全長約100mmほどになるのだが,伸びた部分は比較的自由に曲げられるようになっており,ちょうど唇の左端あたりへマイクが来るように設定できる。マイクを「吹かない」,ブローノイズの出にくい使い方ができるわけだ。

マイクはエンクロージャから引き出して,先端部を引き伸ばし,最後に口のほうへ曲げて使う感じになる
Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G

Logitech G/Logicool G
 装着した状態でマイクブームを引き出したり畳んだりするときは,ヘッドセットから「ピピッ」という音が聞こえるので,マイクがオンになったのかオフになったのか分かりやすい。
 ちなみに,マイク部には赤色LEDが埋め込まれており,マイクがミュートのときは点灯しするようにもなっている。マイクを引き出した状態だと,視界の片隅にうっすらと赤い光が見え,ミュートになっているのが分かるタイプだ。。

Logitech G/Logicool G
 ヘッドバンドの長さを変更するためのスライダー部は金属製。目盛りがあるため,自分にとってベストな設定がどこかは数字で覚えられる。
 ヘッドバンドの裏,頭頂部と接触する部分も広範囲に,やや厚手で柔らかめのクッションが用意され,イヤーパッドと同じメッシュ素材にくるまれた状態で貼られているため,頭頂部へのストレスは少ないはずだ。

 本体のLEDは,エンクロージャ側面の「G」ロゴ部と,背面側に埋め込まれており,後述するソフトウェアによって,色や光り方をカスタマイズ可能だ。外からユーザーを見ている人にとっては視覚的なアピールになる一方,ゲームをプレイしているユーザーの視界に入ることはないので,純粋なイルミネーションという理解でいい。
 現在のところ,詳細は明らかになっていないが,エンクロージャにはマグネットで固定されているカバーが取り付けられており,変更できるようになっているので,今後,「交換用カバー」が出てくれば,イルミネーションの光り具合もいろいろと変わってくる可能性もあるだろう。

LEDの光り方イメージ(左)と,エンクロージャ部のカバーを取り外したところ。現時点だと,このカバーには「取り外せる」以外の意味はない
Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G

 装着感は,大きなイヤーパッドのお陰もあって快適な部類に入る。かっちり締まっているのに,あまり窮屈な感じはしないのだ。「軽い」とは思わないものの,「重すぎる」とか,「長く使っていると重みを感じてくる」ような印象はなく,側圧も割と強めながら,柔らかいイヤーパッドのお陰で強い締め付けを感じることもなかった。


Logicoolゲームソフトウェアから,細かな設定を行う仕様。対象はUSB接続


G633のサポートページ。LGSの対応OSにPS4とXbox Oneがあるものの,ここまで説明してきたとおり,両ゲーム機にLGSをインストールできるわけではない
Logitech G/Logicool G
 繰り返しになるが,G633自体はUSBもしくはアナログ接続で利用できる,ステレオヘッドセットであり,PCとのUSB接続時にバーチャルサラウンドサウンド機能や10バンドイコライザ,LEDイルミネーションなどといった機能を利用したいときは,専用の制御用アプリケーションである「Logicoolゲームソフトウェア」(日本以外では「Logitech Gaming Software」。以下 LGS)を,ロジクールのサポートページからダウンロードして入手する必要がある。テストに用いたバージョンは8.74.80だ。

 導入後,LGSを起動した状態が下のスクリーンショットだ。最近のLGSそのままといったインタフェースであり,下に並んだアイコンを選択することで,各種機能(の設定)へアクセスできるようになっている。

G633を接続した状態でLGSを起動したところ。家の形をしたアイコンをクリックしても,この状態に戻る
Logitech G/Logicool G

 「G-key」のアイコンからは,G633の左エンクロージャ背面側にある[G1]〜[G3]ボタンに,さまざまな機能を割り当て可能。その右にある電球マークのアイコンをクリックすると,明滅を繰り返す「Breathing」,色が次々と変わる「Color Cycle」,特定の色で光り続ける「Solid Color」,もしくは色や光り方などを細かく設定できる「Custom Lighting」を選択したうえで,LEDイルミネーションを調整できるようになる。
 設定内容はG633側に内蔵されるフラッシュメモリへ保存され,USB接続される環境では,LGSが導入されていなくても,保存された設定で光る仕様だ。

Logitech G/Logicool G
マウスなどと同じように,G-keyへ機能を割り振れる
Logitech G/Logicool G
LEDの設定項目は,Custom Lightingだとかなり細かい

新しいプリセットは「New EQ」(※名称は変更可能)として,基本的にいくつでも登録可能。この例では「FLAT」だが,フラッシュメモリに保存されているプリセットには,半導体チップ状のアイコンが表示される
Logitech G/Logicool G
 その右にあるミキサーのようなアイコンをクリックすると,サラウンド以外のサウンド設定,具体的にはG633のヘッドフォン出力およびマイク入力音量調整,ゲームのプレイ中にプレイヤー自身のマイク入力音をモニタリングして聞くときの音量を調整する――一番下にすれば無効化できる――サイドトーン調整,簡単な低域および高域の調整機能と,10ベースイコライザを利用可能だ。
 「イコライザの細かな設定は難しい」という人は,左に並んだプリセットにある「FLAT」「FPS」「MOBA」「Drop the Bass」「Cinematic Gaming」「Communication」を選ぶことでも,音質傾向の調整は可能だ。逆に,自分の耳に自信のある人は,10バンドイコライザを細かく設定して,それを新しいプリセットとして追加のうえ,G633へ保存することもできる。

Logitech G/Logicool G
標準の「FLAT」は事実上の「イコライザ無効」設定。ひとまずはこれで使ってみるのがよさそうだ
Logitech G/Logicool G
「FPS」は,1kHzを中心として少し山型に強調し,いわゆる「かまぼこ型」の周波数特性を作り出している
Logitech G/Logicool G
「MOBA」は125Hz付近を下げて,500Hzと4kHzを持ち上げた,けっこうブライトな音質傾向
Logitech G/Logicool G
「Drop the Bass」は500Hz以下の左肩上がりで低音強調している。1kHz以上はフラットだ
Logitech G/Logicool G
「Cinematic Gaming」では,32Hz〜125Hz付近と,1kHzが少し持ち上がある
Logitech G/Logicool G
「Communications」は,FPSと似た傾向。1kHz付近を中心としたかまぼこ形に近い

プロファイルごとのイコライザを有効にする,を選択した状態
Logitech G/Logicool G
 ゲームごとに異なるイコライザ設定を行いたい場合は,メニューの左下部分にあるチェックボックス「プロファイルごとのイコライザーを有効にする」にチェックを入れる。すると画面上部にG-Key画面と同様のプロファイルセレクターが現れるので,ここでイコライザ設定を変えたいプロファイルをクリックし,その後イコライザプリセットを選んだり,編集したりすればいい。

 なお,ミキサーアイコンの右にあるアイコンはサラウンド関連なので,これは後編で紹介する。


とても現代的でクリーンなステレオ再生を実現するG633


 さて,いよいよ試聴である。冒頭でもお断りしたとおり,今回はUSB接続およびアナログ接続におけるステレオ再生でテストを行う。

 まず,全体の音質傾向だが,工場出荷状態のイコライザ設定である「FLAT」で聞いてみると,重低域から超高域までスムーズでクリーン,かつ,目立った山や谷が存在しない,かなりフラットな周波数特性であることが分かる。ただ,重低域も結構しっかりあるため,聴感上は低域のほうがやや強い,わずかな右肩下がりに感じられる。ファーストインプレッション時の試作機と比べても,ずいぶんと低音がしっかり出ている印象だ。

Logitech G/Logicool G
 ただ,「低域のほうがやや強い」と言っても,300Hzあたりが強調された,いわゆるブーミーな感じはなく(※1),もっと下の,50Hzや100Hzといったあたりもけっこうしっかり出ているので,変に盛り上がったり落ち込んだりといった印象はない。

 一方,Logitechの開発陣がこだわっていた「高域における歪みの少なさ」は,製品版G633でも確認できる。
 プレゼンス(※2)の帯域にあるハンドクラップ(拍手)や,高域にあるハイハットやシンバルが,歪んで聞こえることはない。歪まないので,高域は非常にクリーンだ。また,定位が左右に移動する素材の音源移動がはっきり認識できるので,超高域といえる10kHz以上の帯域まで落ち込むことなく,しっかり再生されているといってよいであろう。

※1 300Hz周辺が強調されると,気持ちよく感じられるのだが,低域が強すぎるせいで高域が濁ったように聞こえる,いわゆる「低音が被った」状態になり,クリーン感が低下する。
※2 2kHz〜4kHz付近の周波数帯域。プレゼンス(Presence)という言葉のとおり,音の存在感を左右する帯域であり,ここの強さが適切だと,ぱりっとした,心地よい音に聞こえる。逆に強すぎたり弱すぎたりすると,とたんに不快になるので,この部分の調整はメーカーの腕の見せどころとなる。

 低弱高強の製品でいくつか同様の確認ができた製品はあるが,重低域までしっかり再生されている,「やや右肩下がり」のゲーマー向けヘッドセットで,このステレオ感を体験できた記憶はかつてない。そして,歪まないスピーカードライバーと厚みのあるイヤーパッドのおかげか,耳に張り付かない,耳からスピーカーまでの距離がきちんと感じられるステレオ感というか,音場の広さもある。

 そうなると「では中域はどう?」という話になるのだが,これも変に落ち込んだり盛り上がったりせず,いい案配に「ほぼフラット」を実現できている。ゲーマー向けかどうかに関係なく,ほとんどのヘッドセットやヘッドフォンは,コストを抑えながら気持ちよく聴かせるために,中域が凹んだ「ドンシャリ」の周波数特性にするケースが多く,そうなるとボーカルや大事な効果音が奥に引っ込み,聴き取りにくくなるのだが(※3),そういうことはない。ブレス(息)もブレスとして聞こえる。

※3 人間の声は,ある周波数に対して整数倍の周波数を持つ音となる倍音によって「何を言っているか」を認識するので,1kHz周辺の中域と2〜4kHzのプレゼンス帯域が重要である。

 これがアナログ接続になると,少し重低域と超高域がロールオフ(=roll off。少し落ち込む)するが,これはアナログ接続だから……というよりは,接続した(≒半差しした)「Sound Blaster ZxR」側のヘッドフォンアンプが持つ音質傾向に左右されている可能性のほうが高そうだ。このロールオフ以外,USB接続時との間に極端な違いは感じられないので,アナログ接続による音質劣化,とは考えにくい。
 今回はiPhone 6にもつないでみたが,音質傾向は先ほどと変わらず。重低域と超高域はロールオフされるが,高価なヘッドフォンだと,駆動するヘッドフォンアンプを外付けにしたりしないと「いい音」にならなかったりするケースが多い中,G633はスマートフォン直結でも音質傾向が保たれるため,「いい音」を楽しめた。
 ちょっと気になったのは,メッシュ生地のイヤーパッドを採用する都合上,密閉型ではあるものの,完全な密閉型にはならず,大音量だとやや音漏れが生じること。屋外での使用時にはボリュームをあまり上げすぎないほうがいいと感じたが,指摘すべき点はそれくらいだ。

Logitech G/Logicool G
 なお,今回も比較用リファレンスとしてはAKG製のヘッドフォン「K240 Studio MKII」(以下,K240)を用いているのだが,K240だともっと重低音が失われ,プレゼンスが落ち込み,一方で中域は相対的に強くなって,プレゼンス部分が凹んだあと,高域まで伸びる,という感じの周波数特性になる。どちらかというとボーカルとリスニング用途にフォーカスした,「柔らかい」音質傾向だが,ゲーム用途が前提となるG633は,もっと重低域から超高域までフラットで,落ち込まないプレゼンス帯域によって輪郭がはっきりしたように聞こえるという違いがあった。
 また,K240の場合,ヘッドフォンアンプが高品質でないと,ちょっと位相がずれたように聞こえることもあるのだが,モバイル機器まで使用を前提としたG633ではスマートフォン直結でも大きな音質傾向の変化は感じられない。このあたりは,とても現代的な作りになっていると言えるだろう。

 念のため,PCとUSB接続しつつ,iPhoneとアナログ接続してiPhoneで音楽をかけ,PCでYouTubeを見る,ということも行ったが,ミキサー機能も問題なく機能しており,歪みも,大きな音量の落ち込みもないまま利用できた。ミキサー機能を使うときは,G633側のPC/3.5MMスイッチをPC側に入れておく必要があるので,その点はお忘れなく。

 最後にLGSのイコライザは,当初,使い方を細かく解説したうえで,筆者の推奨設定も提示しようかと考えていたのだが,最終的には取りやめた。というのも,ほとんどのケースで,FLATとFPS,Drop the Bassの3プリセットを切り換えるか,そこから少し設定を変える程度で十分だったからだ。
 LGSに用意されるイコライザはしっかりした効果があるうえ,そもそもハードウェア側のポテンシャルが高いので,±3dB程度の設定変更でも,かなり劇的な変化を確認できるのだが,筆者が聞く限り,ゲームはもちろん,音楽やビデオの再生時にも,ほとんどのケースでFLATプリセットが必要十分。FPSをプレイするときはFPSも試して,好みのほうを選択すればよく,重低音好きならDrop the Bassがお勧めだ。ドンシャリにしたければ,イコライザではなく,ベースとトレブルのスライダーを若干持ち上げればOKだ。上げすぎにはご注意を。


マイクプリアンプ搭載の効果か,驚くほどフラットなマイク特性


 続いては,「だって音がいいから」という単純な理由で,ゲーマー向けヘッドセットではまずあり得ないオーディオ用プリアンプの搭載を果たしてきたマイクの検証である。
 前述のとおり,G633のマイクは,エンクロージャ部とアナログケーブルのインラインリモコン部,計2か所に用意されている。マイクテストの計測方法は解説ページを見てもらいたいと思うが,アナログケーブルは端子が4極の3.5mmミニピンであることから,MacBook Airに接続してAudacityで録音を行い,その後,解説ページにある通常のプロセスどおり,Pro Toolsに送るという流れになっていることを,あらかじめお断りしておきたい。

 さて,まずはUSB接続時のブームマイクからだが,そのテスト結果が下の波形である。一見してちょっと記憶にない周波数特性だ。150Hzより下では,低域をカットするハイパスフィルタ(ローカットフィルタ)がかかったような落ち込みがあり,150Hzより上では,15kHz付近まで,画期的なレベルでほぼ“直線”状態になり,その上で一気に落ち込む。これがおそらくは,先の記事でも紹介した,一般的な電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor,FET。マイク内部でコンデンサのエネルギーを電気に変える部品)からオーディオ用のマイクプリアンプへ変更した効果なのだろう。

橙の波形がリファレンス,緑の波形がG633のUSB接続時におけるブームマイクの測定結果となる
Logitech G/Logicool G

 メーカー公称周波数特性は100Hzから20kHzなのだが,実際に録音して音を聞いてみると,周波数どおりの結果になっていた。要するに,ゲーマー向けヘッドセットによくある「声を情報として何を言ってるか分からせる」ための常套手段である「プレゼンス帯域を極端に大きな山にして,低音と高音をカット」しているのではなく,「低音をカットして他はなるべくフラット」にしたような感じだ。
 低域や重低域がカットされており,籠もった印象にならないため,ネットワーク上でもかなりクリーンに聞こえるだろう。同時に,プレゼンスが盛り上がっていないので,(入力レベルの設定値にもよるが)破裂音が目立つタイプのしゃべり方をする人であっても,イヤな歪みを相手に伝える心配はそれほどない。

 指向性マイクを採用する効果と,低周波のカット効果とにより,声に乗る部屋の定常波ノイズ(≒ルームノイズ,環境ノイズ)が少ない点も付記しておきたいと思う。

 では,アナログ接続時はどうか。先述のとおり,今回はMacBook Airへ入力しているため,いつものテスト環境で計測した結果とは分けて考える必要はあるものの,総じて,極端な山や谷がないとはいえるだろう。
 ハイパスフィルタは125Hz付近より下に対してかかっており,また,2kHzから6kHz付近に山があるなど,USB接続時と比べると違いは確かにあるものの,100Hzから20kHzという公称周波数特性の範囲が,かなりフラット寄りであるとは述べていい。
 アナログのほうがより低域まで高い入力レベルを維持していることもあり,録音した音声の聞こえ方は,USB接続時よりもスムーズだ。

橙の波形がリファレンス,緑の波形がG633のアナログ接続時におけるブームマイクの測定結果となる
Logitech G/Logicool G

 最後に,インラインリモコン部のマイクだ。こちらのマイクについて,Logitech/ロジクールはとくに何も言っていなかったので,正直“舐めて”いたのだが,結果は下に示したグラフのとおりで,ブームマイクにこそ敵わないものの,一般的な「インラインリモコン部のマイク」とは,一線を画す波形が得られている。
 さすがにブームマイクと比較するのはかわいそうで,1.5kHz付近に小さな谷,9kHz〜15kHz付近に大きな谷がある。低域は下限90Hzあたりまで拾うので,ノイズも増えるが,それでも,インラインリモコンのマイクとしては,かなりフラットだと言っていいように思う。インラインリモコンのマイクは,基本,電話の受話用ということになるが,これだけの品質があれば,十分,実用に堪えるはずだ。

橙の波形がリファレンス,緑の波形がG633のアナログ接続時におけるインラインリモコン側マイクの測定結果となる
Logitech G/Logicool G

 録音を聞いた印象からすると,インラインリモコン側のマイクのマイクユニット自体は,ブームマイクに搭載されるものと同じものの可能性がある。周波数特性の傾向が似ているというのがその理由で,同じにならないのは,リモコンの形状による制約によるものだろうと考えているが,いずれにせよ,機会があれば,ぜひこのインラインマイクも試してみるといいだろう。


Logitech Gの自信作は,現状のトップクラスか。完成度は異様なほど高い


 失礼を承知で書くが,Logitech/ロジクールのサウンド製品には,出自の異なるUltimate Ears製品を除くと,「うーん」と唸らざるを得ないものが多かった。先の開発拠点取材も,出かける直前まで,乗り気ではなかったくらいだ。

Logitech/ロジクールのスピーカー製品にはいい思い出のない筆者だが,いまの彼らであれば,マルチメディアスピーカーも大きく改善してくるのではないか。そう期待できるほどの完成度が,G633にはある
Logitech G/Logicool G
 だが,G633の完成度は,そんな筆者の「Logitech/ロジクールのサウンド製品」に対するイメージを,完全に覆した。ここまで出力時の歪みが小さく,重低域から超高域までバランスよく再生できて,しかもやや右肩下がりの周波数特性かつ輪郭がカリッとした現代的なサウンドに仕上がっているゲーマー向けヘッドセットは,ちょっと記憶にない。
 マイク品質も,Logitechの開発チームが主張するとおりの,実に良好な結果を示しており,見事というほかない。最終製品の基本検証を終えた時点における結論は,「G633は素晴らしい」の一言である。

 個人的には,開発拠点,とくにラボの見学にあたって話を聞かせてもらった,LogitechのTracy Wick氏による説明は,テストにおける筆者の推測を補強する,とてもいい材料になった。おそらく彼らは,G633(とG933)の完成度に並々ならぬ自信を持っていて,まず「いいでしょ?」と言いたくて仕方がなかったのであろうが,単に言いっ放しにはせず,「なぜかというと……」という理由の説明をきちんと行ってくれたのは,優秀なエンジニアらしいアプローチであったように思う。

 いずれにせよ,G633の基本機能は申し分ない。後編では,「DTS Headphone:X」という,重要な新要素を中心に,ゲーム寄りの評価を行っていきたい。


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Logicool GのG633製品情報ページ

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