「Oculus Rift」のDay-1ドライバとなる「Radeon Software Crimson Edition 16.3.2」公開。サポート対象のGPUに「Radeon Pro Duo」が加わる

　北米時間2016年3月28日，Oculus VR製のVR（Virtual Reality，仮想現実）対応ヘッドマウントディスプレイ「Rift」が，ついに出荷開始となった（関連記事）が，それに合わせてAMDから，Rift，そしてRift向けのソフトウェア開発キット「Oculus PC SDK 1.3」に最適化済みとされるドライバスイート「Radeon Software Crimson Edition 16.3.2」（以下，Crimson 16.3.2）が発表となった。
　AMDは，主要なタイトルがローンチとなるとき，同日（≒Day-1）にドライバを出すと宣言していたので（関連記事），VRのDay-1ドライバが出てきたということになりそうだ。

　すぐに入手したい人は下に示したリンクをどうぞ。今回は，Hotfix版ではない，WHQL（Windows Hardware Quality Labs，ウィクル）通過版である。

→64bit版Windows 10用Crimson 16.3.2
→32bit版Windows 10用Crimson 16.3 2（※Radeon R9 Fury・R9 300・R7 300シリーズは非対応）
→64bit版Windows 8.1用Crimson 16.3 2
→32bit版Windows 8.1用Crimson 16.3 2（※Radeon R9 Fury・R9 300・R7 300シリーズは非対応）
→64bit版Windows 7用Crimson 16.3 2
→32bit版Windows 7用Crimson 16.3 2（※Radeon R9 Fury・R9 300・R7 300シリーズは非対応）

→ノートPC向けの64bit版Windows 10用Crimson 16.3 2
→ノートPC向けの32bit版Windows 10用Crimson 16.3 2（※Radeon R9 M300・R7 M300・R5 M300シリーズは非対応）
→ノートPC向けの64bit版Windows 8.1用Crimson 16.3 2
→ノートPC向けの32bit版Windows 8.1用Crimson 16.3 2（※Radeon R9 M300・R7 M300・R5 M300シリーズは非対応）
→ノートPC向けの64bit版Windows 7用Crimson 16.3 2
→ノートPC向けの32bit版Windows 7用Crimson 16.3 2（※Radeon R9 M300・R7 M300・R5 M300シリーズは非対応）

→4Gamerの最新ドライバリンクページ

　Display Driverのバージョンは16.15.2211-160321a-300861Cで，「Radeon Software Crimson Edition 16.3.1 Hotfix」の同16.15.2111-160314a-300497Eと比べると若干のアップデートだが，RiftのほかにHTC製のVRヘッドマウントディスプレイシステム「Vive」，そしてAMDがVRコンテンツのクリエイター向けと位置づけるデュアルGPUソリューション「Radeon Pro Duo」にも正式対応と，見どころは多い。いよいよ，AMDによるVR環境への準備は整ったといったところだろうか。

　英文リリースノートを見る限りバグフィックスは小粒なのだが，「ファイナルファンタジーXIV」で画面に何も映らなくなったり，ゲームアプリケーションがハングしたりする問題など，ゲーム関連で重要な問題にメスが入っている点も要注目。ドライバのアップデート作業は自己責任となるので，その点は注意してほしいが，対応製品を持っている人に広く勧められる，久しぶりの公式最新版と言えそうである。


＃＃＃＃　以下，英文リリースノートまとめ　＃＃＃＃

●Radeon Software Crimson Edition 16.3.2の対応GPU

• Radeon Pro Duo
• Radeon R9 Furyシリーズ
• Radeon R9 300・200シリーズ
• Radeon R7 300・200シリーズ
• Radeon HD 8500以上のRadeon HD 8000シリーズ
• Radeon HD 7700以上のRadeon HD 7000シリーズ
• Radeon R9 M300・M200シリーズ
• Radeon R7 M300・M200シリーズ
• Radeon R5 M300・M200シリーズ
• Radeon HD 8500M以上のRadeon HD 8000Mシリーズ
• Radeon HD 7700M以上のRadeon HD 7000Mシリーズ
• AMD FX APU with Radeon R7 Graphics
• AMD A-Series APU with Radeon R8・R7・R6・R5・R4・R3 Graphics
• Athlon/Sempron APU with Radeon R3 Graphics
• AMD E-Series APU with Radeon R2 Graphics

●Radeon Software Crimson Edition 16.3.2が統合するコンポーネント
（※比較対象はRadeon Software Crimson Edition 16.3.1 Hotfix）

• Display Driver：16.15.2211-160321a-300861C（←16.15.2111-160314a-300497E）
• Radeon Settings：2016.0321.1015.16463（←2016.0314.1810.30700）
• 2D Driver：8.1.1.1546（←8.1.1.1533 ※16.2.1のときのバージョンに戻った）
• Direct3D：9.14.10.1183
• OpenGL：6.14.10.13431
• OpenCL：2.0.6.0
• Mantle： 9.1.10.109（※Mantle API：98309）
• Audio Driver：7.12.0.7723

●Radeon Software Crimson Edition 16.3.2における最適化
（※比較対象はRadeon Software Crimson Edition 16.3 Hotfix）

• リリースノートに記載なし

●Radeon Software Crimson Edition 16.3.2における新要素
・新製品への対応

• Radeon Pro Duoを新規にサポート

・サードパーティ製ハードウェアの対応

• Oculus VR製ヘッドマウントディスプレイ「Rift」および「Oculus PC SDK 1.3」正式対応
• HTC製ヘッドマウントディスプレイシステム「Vive」に対応

・アプリケーションプロファイルの拡張

• 「Everybody's Gone to the Rapture」およびDirectX 11版「HITMAN」用CrossFireプロファイルの更新

●Radeon Software Crimson Edition 16.3.2で解決した問題

• 「Counter-Strike: Global Offensive」で（ゲーム側から）ネイティブ対応していないアスペクト比を指定したときに正しく拡大縮小できない問題（※丸括弧内は筆者による推測。原文は「Counter-Strike: Global Offensive fails to stretch on non-native display aspect ratios.」となっている。なお，リリースノートによれば，これはゲーム側の新しいディスプレイスケーリング仕様によるもので，Radeon Settingsの「ディスプレイ」タブにある「GPUスケーリング」をオンにし，「スケーリングモード」を「フルパネル」にするか，「ゲーム」タブ以下にあるCounter-Strike: Global Offensiveの「プロファイルのオプション」から「ディスプレイ スケーリング」を「フルパネル」に変更する必要があるという）
• Radeon R9 Furyシリーズを搭載した環境で一定時間以上アイドル状態に置くと，デスクトップの表示がおかしくなることのある問題
• 「ファイナルファンタジーXIV」で画面に何も映らなくなったりゲームアプリケーションがハングしたりする問題
• 「XCOM 2」でシーン内でカメラをパン（pan，上下左右に振ること）させると，若干のスタッター（カク付き）が発生することのある問題
• Radeon Settingsの「アップデート」タブから「アップデートをチェック」を選択したとき，最新版のドライバが表示されないことのある問題