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今は“無駄なこと”が不足しているから,僕らは「ニコニコ超会議」をやったんです――ドワンゴ川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第6回
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印刷2012/05/15 09:00

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今は“無駄なこと”が不足しているから,僕らは「ニコニコ超会議」をやったんです――ドワンゴ川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第6回

画像集#002のサムネイル/今は“無駄なこと”が不足しているから,僕らは「ニコニコ超会議」をやったんです――ドワンゴ川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第6回


 4月28日,29日に開催された「ニコニコ超会議」は,会場来場者9万人以上,ネット来場者に至っては約350万人という盛り上がりを見せた。連載第6回目となる,ドワンゴ・川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」ですが,今回は,そんなニコニコ超会議についてのお話を座談会形式でお送りします。

 大盛況だったにも関わらず,川上氏曰く「約4〜5億円の大赤字」というニコニコ超会議。なぜドワンゴは,そこまでのお金をかけて,このイベントをやろうとしたのか。ニコニコ超会議で彼らがやりたかったこと,そして狙っていたこととは一体……?
 座談会は,ニコニコ超会議の統括プロデューサーを務めた横澤大輔氏と,併催された「ニコニコ超パーティー」のプロデューサー阿部大護氏のお二人を迎えて行われ,ニコニコ超会議の裏話からニコニコ動画とはいったいどんなサービスなのかまで語ってもらいました。

 ドワンゴがかたくなに“無駄なこと”に力を注ぐ理由や,ニコニコ動画ユーザーの間にある連帯感の原点など,興味深い話が盛り沢山だった今回の座談会。ぜひご一読ください。

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4Gamer:
 先日の「ニコニコ超会議」はお疲れ様でした。

川上氏:
 はい。ありがとうございます。まぁ……,めちゃめちゃ疲れました(苦笑)

4Gamer:
 でもあれは,「大成功」と言える結果でしたよね?

川上氏:
 うんまあ,ただ成功うんぬんというよりは,「なんとかなった!」という気持ちの方が強いですけどね。なんせ,チケットの発売初日なんて,たった500枚しか売れませんでしたから。その時の社内の絶望的な雰囲気といったらもう(笑)。

4Gamer:
 え,たったの500枚ですか? でも結果としては,9万人以上もの人が集まっていたわけですよね?

川上氏:
 ニコニコ超会議の全貌が見えてきたあたりからは,徐々にチケットの売り上げも伸びていったんですが,それも本当に直前だったんですよ。ニコニコ超会議がどんなイベントなのか,ユーザーさんが分かっていなかったせいもあると思うんですが,そもそもニコニコ超会議で何をやるか自体,実は開催の2か月前の時点で何も決まっていなかったという……。

横澤大輔(よこさわだいすけ):ドワンゴ 取締役 上級執行役員。ニコニコ動画をはじめとして,ドワンゴのさまざま事業/イベントを手がけてきた人物。ニコニコ超会議では総括プロデューサーを務めた。ちなみに,ドワンゴの着メロ事業の立ち上げ時に,その事業を一手に引き受けた株式会社CELLの代表取締役会長でもある
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横澤氏:
 今日はそこから話すんですか?

川上氏:
 うん。今日は,あの熱が冷めないウチにニコニコ超会議について,いろいろと話しておきたいなと思って。急だったけど,関係者を集めちゃいました。まず紹介すると,ニコニコ超会議の総括プロデューサーをやってもらった横澤大輔くんと,ニコニコ超パーティーの方を担当してもらった阿部大護くんです。


横澤氏あべちゃん:
 よろしくお願いします。

4Gamer:
 しかし,急でしたよねぇ。

※5月2日の夕方に急遽話が持ち上がり,その日の夜中にこの座談会が開催された

横澤氏:
 いや,ホントに急過ぎですよ。僕なんか,もう疲れ果てて家で廃人のようになっていたところを,呼び出されましたし。今日はなんも喋れないですって言っているのに,川上さんが「これは熱いうちにやんないと駄目なんだ!」って言い張るから説得されて(苦笑)。

川上氏:
 でも,こういうのはタイミングが重要じゃん?

横澤氏:
 まぁ,その通りだと思うので,こうやってこの場にいるわけですけどね。

4Gamer:
 しかし,チケットが初日に500枚しか売れなかったとか,何をやるか全然決まっていなかったとか,すでに興味深い(?)キーワードが出てきています。

川上氏:
 はい。もともと僕らは「ニコニコ大会議」というイベントを何回かやらせてもらっていたわけですが,今回のニコニコ超会議は,その規模も規模だし,これまでの大会議とは違う座組み/人達で,まったく新しいチームを作って動かしていたんです。幕張でイベントなんて当然やったこともなかったから,別の経験ある業者がいいだろうっていう話もありましたしね。
 ここにいる横澤くんとあべちゃんというのは,元々は,ニコニコ大会議の方のプロデュースをずっとやってきてくれていたメンバーで,今回も本当は,ニコニコ超パーティー「だけ」をやる予定だったんです。

横澤氏:
 それが去年の12月の段階で,「まったく何も進んでない」ということが判明して……。

川上氏:
 そうそう(笑)。

4Gamer:
 そもそも,ニコニコ超会議をやると決めたのはいつのタイミングなんですか?

川上氏:
 去年の5月にやった「台湾大会議」の前には決めていたから,ちょうど一年くらい前ですかね。

4Gamer:
 そこから12月まで,何も動いてなかったということですか?

横澤氏:
 はい。ふたを開けてみたらびっくり,という。

川上氏:
 なので,急遽チームのメンバーをアサインしなおしたりして,いろいろと頑張ってはいたんですが,それでもなかなか進まなくて。気が付いたら2月に入っちゃってたんですよね。

横澤氏:
 忘れもしませんよ。2月22日にMTGをしたんですが,その時点でもなお,ほとんどまだ何も決まっていなかった。開催日まであと66日しかない!って大騒ぎでしたよね。

阿部大護(あべだいご):通称「あべちゃん」。ドワンゴ ニコニコ事業本部 ユーザー文化推進部 部長代理見習い。元々は一ユーザーとしてニコニコ動画に大ハマリしていた人物で,あまりにハマリ過ぎた結果,レコード系会社からドワンゴに転職。「ニコニコ大会議2010夏」以降のニコニコ大会議など,同社の数々のイベントを手がける
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あべちゃん:
 300日間,いったい何をしていたんだっていう。

川上氏:
 うん。あの時は,本当に社内に悲壮感が漂っていたよね。
 だって常識的に考えたら,あの規模のイベントがふた月でできるわけないもん。普通のイベントだって66日じゃできないのに,ニコニコ超会議みたいな面倒くさいイベントがそんな短い期間でできるわけがないだろ!って。みんなそう思ってた。

4Gamer:
 そりゃそうでしょう……。

川上氏:
 で,こりゃ本当の本当にヤバイってんで,横澤くんにニコニコ超会議の全体を統括してもらうようにお願いしたんです。横澤くんには,ニコニコ大会議もそうなんですが,昔やった「12時間生放送(※)」だとか,大きめの企画をずっとやってもらっていた経緯があったので,もう横澤くんしかいない!と。無茶振りしてみました(笑)。

※ダウンタウンの浜田雅功氏らなどが出演した生放送番組。2009年当時で,来場者数が25万人以上,コメント数200万以上を記録した

横澤氏:
 そういう状況だったので,僕がこの仕事を引き受けたとき,まず最初に考えたのは「これは社内プロモーションから始めないと駄目だ」ということでした。あと66日という時点で,「え,本当にやるんですか?」という人もいるくらい酷い状況でしたから。で,実際になにをやったかというと,まずみんなで「ナンジャタウン」に行ったんです。

4Gamer:
 ナンジャタウンって,池袋にあるナンジャタウンですか?

横澤氏:
 はい。なんというか,兎にも角にもまず「共通言語」がないと,これから進める個々の案件がまとまらないなと思ったんですよね。だから,みんなでナンジャタウンにいって,例えば「あそこにこういうことがあったから」みたいな会話が出来るようにと考えたんです。そういうやりとりでプロジェクトを動かしていかないと,もう絶対に間に合わないだろうと思って。

あべちゃん:
 みんなはみんなで,「なんでナンジャタウンなんだ?」とか思ってた気がしますけどね。

川上氏:
 まぁ,ごりごり進めていかないととても間に合わないという流れになったので,名刺も全部,社内のやつは超会議バージョンの奴に変えさせて。全社体制……というか,全グループ体制で臨むような方向にシフトしました。

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横澤氏:
 厨二っぽいパーカーも作ったりしてね。

川上氏:
 そういえば,あれって誰が作ったの?

横澤氏:
 これは僕が作るって言って,あべちゃんにデザインしてもらいました。

川上氏:
 ああ,そうだったんだ。

あべちゃん:
 はい。

川上氏:
 僕が凄いなと思ったのは,この“運営魂”っていう文言なんだよね。

あべちゃん:
 あの,胸のところの。

川上氏:
 「常勝」「運営魂」,そして極めつけが「ぜってー負けねー」っていうキャッチフレーズね。これ,凄いなと思って。というのも,昔からドワンゴにいる社員からは絶対出てこないフレーズなんだよね。新宿のホストのブログとかに書いてそうなセリフでしょ。アメブロとか(笑)。

横澤氏:
 でも,まさにコンセプトはそこだったんですけどね(笑)。ものすごい厨なパーカーを作ろうっていう。

川上氏:
 ただ僕も,そういう体育会系のノリでいかないと,今回はとても乗り切れないっていうのを凄く感じていて。とにかく,ほんとに大変な状況だったんですよ。

Fooさんが書いたという,ニコニコ超会議の手書きの企画書。実際のイベントがほぼこのまま再現されてしまっているのが凄い(※クリックで拡大表示されます)
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「ニコニコ超会議」は社内で説得できない企画


4Gamer:
 話を大分戻してしまうんですが,そもそもニコニコ超会議って,どういう経緯で「やるべきだ」って話になったんですか?

川上氏:
 いや,それはあちこちで話しているんですけど,要するに,ニコニコ大会議っていろんな人に批判されたんです。「ニコニコ大惨事」とかって言われて,「インフラの増強もしないでいかがなものか」と。いろいろ言われましたよね。
 でも,そうした批判をよくよく聞いてみると,サーバーうんぬんっていうのは実は本質じゃなくて,「大会議で一部のジャンルだけ取り上げるのは不公平じゃないか!」って不満が爆発していたんです。自分たちが疎外されていると思っていたんですね。

4Gamer:
 ああ,俺たちを無視して盛り上がりやがって的な?

川上氏:
 はい。それに,ひろゆきあたりも公の場で大会議を批判したりしていたので,このままじゃちょっと続けられないなという空気もあったんです。だから,大会議は「台湾大会議でもう終わりにしよう」というのは決めていました。
 ただ僕は,もともと天の邪鬼な人間ですので,「大会議は終わりにするけど,代わりにもっと大きなイベントをやってやろう」と。一個のジャンルでみんなが満足しないって言うなら,(ほぼ)全部のジャンルでやってやろうと。

横澤氏:
 なんでそこで幕張メッセなのかが分からないですけど(笑)。

画像集#024のサムネイル/今は“無駄なこと”が不足しているから,僕らは「ニコニコ超会議」をやったんです――ドワンゴ川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第6回
川上氏:
 ニコニコ大会議って,基本的にはライブイベントだと思うんだけど,例えば音楽のライブイベントだったら,JCBホールの次は武道館で,その次はさいたまスーパーアリーナ,最後に東京ドームみたいな,分かりやすい“成長のルート”ってあるじゃないですか。でも,ニコニコ動画の全ジャンルを扱おうとする以上は,「もうライブじゃない」って思ったんです。ライブっていう枠を超えたイベントにするべきだと。それで,日本で大型イベントといったら幕張メッセかビッグサイトだろうってことで,打診してスケジュールが取れたのが幕張メッセだった。

4Gamer:
 ちなみにこの企画を進めるにあたって,社内で議論を重ねたり,いろいろなシミュレートをしたりみたいなことはしたんですか?

川上氏:
 いえ,そういうのは全然やっていませんね。基本的には,飲み屋で盛り上がったノリそのままで進めちゃいました。

4Gamer:
 え,でも,一応上場企業ですし,社内では予算を組んで決済したりするわけですよね?

川上氏:
 はい。やろうよって言って,予算を組んで。でも,ウチはそれで終わりですよ。

横澤氏:
 そもそも最終決裁が,大分進んでから(後戻りできない状態になってから)の決裁だったような……。

4Gamer:
 ……。

川上氏:
 いやだって,最初は分からないじゃないですか。経験もないんだから,いくら掛かるかなんて最初に分かるわけがない。やりながらそういうのを学んでいくしかないんです。知らないことに対して無理に予算を決めて動くのは逆に非効率だと思います。全然足らないかもしれないし,逆に余るかもしれない。やってみないと分からないんですよ。ということで,まぁやったんですけど。

4Gamer:
 ……端から見ていて凄く疑問なんですけど,ドワンゴというか川上さんって,「ニコニコ超会議は,こういう理由でやるべきなんだ!」みたいな話は,どういう風にされていたんですか?

川上氏:
 ん,社内ですか? 基本やらないですよ。

4Gamer:
 ええ?

川上氏:
 だって,考えてもみてくださいよ。「ニコニコ超会議をやる! やるべきだ!」と言ったとして,これで何人を説得できると思います?(笑)。

一同:
 (爆笑)。

4Gamer:
 いや,それを言われるとミもフタもないですけど……。

あべちゃん:
 やるべきかどうかっていう議論はあんまりしないですよね。川上さんは。

川上氏:
 はい。しません。

あべちゃん:
 やるっていう前提から入る。

川上氏:
 まぁでも,これはそんなに難しい話じゃなくて,例えば,こういう企画(超会議)をやりたいんだって社内の人間から提案されるとするじゃん。俺,こんなの絶対に反対するもん(笑)。

一同:
 えええええ(笑)。

川上氏:
 だからニコニコ超会議って,僕が人から聞いたら反対するような企画なんですよね。で,そんな話を他人にして説得できるなんて考えることの方がおこがましいと思う。

4Gamer:
 でも,川上さんの中では勝算なり,やるべき理由みたいものはあったんですよね?

川上氏:
 それは当然ありました。だけど,そういう理屈とかって,言われたらそうかもしれないんだけども,実感としてわからないもんなんですよ。仮に理屈として合っていても,やっぱり信用はできませんよね。

4Gamer:
 信用できない?

川上氏:
 うん。例えばさ,今はソーシャルゲームが当たってるから,ソーシャルゲームの凄いタイトル,未だかつてないソーシャルゲームを作ろうっていう企画があったとするじゃないですか。で,未だかつてないソーシャルゲームを作って,これは絶対当たるよねって説明を聞いたとする。要は,そういう話を信じるかどうか,それに乗れるかどうかって話だと思うんです。

4Gamer:
 なんとなく,言わんとしてるところは分かります。

川上氏:
 結論を言うなら,普通に考えればそんな話には乗れない。それが正しい判断なんです。ニコニコ超会議の件を説得するっていうのも,結局,説得される側からしたら“そういう風に見えてしまう”というかね。
 こういうのは,やっぱり企画を立てた人/言い出した人がやり遂げるということが重要で,他の人に対して説得する必要はないんです。説得なんかできないんだから。そこで説得されちゃう人間がいるなら,逆に僕はその人の能力を疑います。企画を信じるんじゃなくて,誰がその企画をやりたいといっているか,その人間を信じるしかない。

横澤氏:
 だから結局,ドワンゴ社内の人間すら説得できないまま,初日を迎えるんですよね。
 イベント当日も,関連スタッフを1000人くらい集めて朝礼をやったんですけど,僕が壇上に立って,頑張っていろいろ話をしても,「はい?」みたいな雰囲気だった。でも,実際にお客さんが入ってきて,会場の盛り上がりを目の当たりにしたら,顔つきが全然変わってくるんですよ。二日目の朝礼なんて,凄くいい雰囲気でしたからね。

川上量生氏
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川上氏:
 だいたい,僕らってずっと変なことばかりやりまくってたわけですよ。そもそもドワンゴが着メロ始める時も,当時ゲーム会社だったドワンゴが着メロサービスをやるなんていうから,もうみんな“大ポカン”だったわけで。

あべちゃん:
 大ポカン(笑)。

川上氏:
 ニコニコ動画にしたってね。今度は携帯の着メロ会社がPCベースの動画サイトをやるなんて,やっぱりみんな大ポカンですよ。まぁこっちはたぶん,世の中的にもポカンだったと思うんですけど。

横澤氏:
 着ボイスをはじめた時もポカンでしたよね。

川上氏:
 うん。細かいところでは,ニコニコ動画のプレミアム会員制度を導入して,これを収益にするっていうことを決めた時もポカンだし,公式の生放送で「政治に力を入れる」って言った時も,みんなポカンじゃないですか。ニコニコ大会議だって,最初はみんな大反対してたんだけども,成功を重ねて,なんとなく「これは必要なんじゃないか」って空気になってきたところで,今度はこの超会議でしょう? やっぱり,ポカンなんですよ。

横澤氏:
 で,そのポカンっていうものだけ僕に振られるんですよね。

川上氏:
 そう(笑)。

4Gamer:
 ちなみに横澤さんは,川上さんの言うことに納得したうえで仕事をしてるんですか?

横澤氏:
 僕ですか? 納得はしますよね,やっぱり。納得しないとここまでできないですから。ただ,僕から周りに仕事を振っていくときは,わかりやすいものから振っていくんですよ。コアの部分は言っても分からないから,分かりやすいところから仕事を任せていって,結果論でコアな部分を示すんです。

川上氏:
 手を動かす人以外の説得はいらないんだよ。単純にね,こういうのやりたい,協力してくれって言ったって,実際にはそんなに賛同してもらえないし,ぶっちゃけ邪魔してくれなければいいぐらいの人がほとんどじゃないですか。で,そういう人達には「邪魔するな」とだけ言えばいいんです。まぁ今回に限っては,ほとんど邪魔されませんでしたけどね。むしろ,グループ含めて全員動員して,めちゃくちゃ疲弊させた2か月間だったと思います。

横澤氏:
 でも,朝礼で「行くぞ,おーっ!」って言ってみたんですけど,初日は反応薄かったのに,二日目はもう両手で返ってくるみたいな盛り上がり方でしたよね。

川上氏:
 初日終わったら,みんなの雰囲気が一変したよね。いや,一週間前ぐらいからだいぶ雰囲気は違っていたかな。世の中の反応が違ったというか,超会議に対する期待感っていうのが,肌感度で実感できてきたからね。

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