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連載「オンラインゲーム ネットカフェランキング」――第三回めのお題は,「ネットカフェでオンラインゲームを遊ぶ価値」について
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印刷2011/03/02 10:00

連載

連載「オンラインゲーム ネットカフェランキング」――第三回めのお題は,「ネットカフェでオンラインゲームを遊ぶ価値」について

画像集#013のサムネイル/連載「オンラインゲーム ネットカフェランキング」――第三回めのお題は,「ネットカフェでオンラインゲームを遊ぶ価値」について

 ネットカフェでのオンラインゲームの稼働時間を指数化し,独自に集計/ランキング化した「オンラインゲーム ネットカフェランキング」。連載第3回,最終回となる今回は,最後にふさわしく「ネットカフェでオンラインゲームを遊ぶ価値」をテーマに,ローカルなコミュニティの重要性について考えていこう。

オンラインゲーム ネットカフェ稼働ランキング


   集計期間:2011年1月1日〜1月31日
 本データは,全国に展開するインターネットカフェ2800店舗で遊ばれている,毎月総計350万時間以上にも及ぶオンラインゲームの利用動向を解析/集計したものです。
 提供元:テクノブラッド http://www.technoblood.com/
順位 タイトル ジャンル ポイント
1 - モンスターハンターフロンティア ACT 314070
2 - リネージュII RPG 155406
3 - ラグナロク RPG 106492
4 - タワーオブアイオン RPG 95322
5 - 777タウンnet カジュアル 42500
6 ↑1 アラド戦記 ACT/RPG 31307
7 ↑1 サドンアタック FPS/TPS 30754
8 ↓2 メイプルストーリー ACT/RPG 27433
9 - ドラゴンネスト ACT/RPG 25453
10 - Alliance of Valiant Arms FPS/TPS 24874
11 - 真・三國無双online ACT 22698
12 ↑2 チョコットランド RPG 21997
13 ↑2 雀龍門2 カジュアル 21924
14 ↓2 マビノギ RPG 20334
15 ↑3 カウンターストライクオンライン FPS/TPS 18744
16 - han スペシャルフォース FPS/TPS 18096
17 ↑13 RED STONE RPG 16925
18 ↓5 リネージュ RPG 15965
19 - 麻雀4 カジュアル 15521
20 ↓3 ファンタジーアースゼロ FPS/TPS 15298


ネットカフェにまつわる日韓の差


 オンラインゲームにおけるネットカフェの利用価値を語るうえで,まずはお隣の韓国と日本のネットカフェとの“事業形態”の違いについて触れておこう。
 これはよく知られた話だとは思うが,日本のインターネットカフェは,韓国で流行ったそれとは大きく異なり,いわゆるマンガ喫茶からの流れを強く汲む事業である。ゆえに提供されるゲームも暇を潰すためのサービスとしての意味合いが強く,コミックや映画鑑賞,カラオケ,ビリヤード,ダーツといったものと一括りで,複合娯楽施設の中の一つのサービスとして,インターネットやオンラインゲームといったものが位置づけられている。

 一方で,韓国におけるネットカフェは,その利用目的の9割以上がインターネットとオンラインゲームに特化されており,利用する客も,“ゲームを遊ぶための施設”としてネットカフェを活用しているという違いがある。現地のネットカフェを利用したことがある方なら分かるかもしれないが,韓国におけるネットカフェは,いわば「ゲームセンター」のようなサービスとして展開されているのだ。
 韓国では,オープンスペースにPCが並んでいるスタイルが一般的で,友達と会話しながらオンラインゲームを楽しむ。料金も1時間あたり1000ウォン〜2000ウォン(日本円で約80円〜160円)程度と安いため,学生などが利用しやすいのも大きなポイントだ。韓国では,このようにネットカフェが「オンラインゲームを遊ぶための施設」として,日本の4分の1ほどの国土面積の中に,累計で約17000店舗も存在している。

 日本のネットカフェが全国で約2800店舗,その利用目的もさまざまに枝分かれしていることなどを考えると,オンラインゲームを遊ぶインフラとしてのネットカフェには,まだまだ発展の余地があることがお分かり頂けるのではないだろうか。

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韓国のインターネットカフェ
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日韓の人気ゲームの比較(2011年1月)


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●日本
順位 タイトル ジャンル
1 - モンスターハンターフロンティア ACT
2 - リネージュII RPG
3 - ラグナロク RPG
4 - タワーオブアイオン RPG
5 - 777タウンnet カジュアル
6 ↑1 アラド戦記 ACT/RPG
7 ↑1 サドンアタック FPS/TPS
8 ↓2 メイプルストーリー ACT/RPG
9 - ドラゴンネスト ACT/RPG
10 - Alliance of Valiant Arms FPS/TPS
●韓国
順位 タイトル ジャンル
1 - AION RPG
2 - サドンアタック FPS/TPS
3 - WarCraft3 RTS
4 ↑152 TERA RPG
5 ↓1 スタークラフト RTS
6 - World of WarCraft RPG
7 ↓2 ダンジョンファイター(アラド戦記) ACT/RPG
8 ↓1 FIFA ONLINE2 ACT
9 ↓1 フリースタイルフットボール ACT
10 ↓1 リネージュ RPG


昨今のFPSブームにより,ネットカフェの利用価値が大きく広がった


 前述したように,日本では,数ある時間つぶしのためのコンテンツの中の一つとして捉えられてきたオンラインゲーム。日本のネットカフェは,閉じた空間/プライベートスペースでの利用が中心であることなどもあり,しばらくは一人で遊ぶタイプのゲームが人気を誇った。具体的には,各種MMORPGやカジュアルゲーム(なかでもネット麻雀/パチンコ)といったものが主に遊ばれていた。
 ネットカフェ特典目当てで来店するケースをはじめ,自宅のPCではスペックが足りなくてプレイできない,引っ越しや出張で一時的にプレイ環境が整わないなど,言葉どおりの意味での“ゲームを遊ぶための場として利用すること”は,日本ではむしろ珍しいことだったのが実情と言えるだろう。

 しかし,ここ数年のFPS人気の高まりにより,この状況にも徐々に変化が現れている。日本でも,韓国のようにゲームセンター感覚でネットカフェを利用する客が増えてきたのだ。
 というのも,アクション要素や競技性が高いFPSは,同じ空間で会話をしながらプレイしたいというニーズが強い。要するに,瞬間的な判断や連携が求められるアクションゲームでは,キーボードを使ったコミュニケーションよりも,隣同士で会話しながら遊んだ方が効率的だし,圧倒的に面白いという話である。
 昨今,オンライン上のプレイにおいて,ボイスチャットあるいはスカイプが浸透しているのもほぼ同じ理由だと思うが,より一体感を得られる遊び方として,「みんなでネットカフェに集まって遊ぶ」という利用のされ方が増えてきているのだ。
 もちろん,以前からMMORPGにおけるギルドのオフ会の場としてネットカフェが利用されていたり,逆にネットカフェに集まったユーザー同士でギルドを作ったりという事例もあるにはあったが,それはごく一部,あるいはスポット的な使い方であって,“常用的なニーズ”という形にはなりえていなかったのだ。

 ちなみに,アクションゲームのプレイヤーには学生など若い層が多く,筆者が実際に各店舗の利用実態を調査/ヒアリングしたところ,中高生の利用は午後から夕方まで,ゲームの稼働ピークとなる22時頃からは,大学生の利用へと変わっていくようなケースが多い。
 ネットカフェ全体の利用率でいうと,学生は10%程度。RPGを遊びに来るプレイヤーは1人で来店することがほとんどだが,FPSなどは,2〜3人で一緒に来店する割合が多いのだという。中高生の利用は夕方までが中心という話と併せて考えても,まさにゲームセンター感覚で利用していることが分かる。基本的には,学校のクラスメイトなど実際の知人が多いと推測されるが,ネットカフェで知り合って仲良くなっていくケースというのも少なくないようだ。

日本でも徐々に増え始めている「オープン席」
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「ローカル」「リアル」という強み


 こうした変化に対して,オンラインゲームのパブリッシャ側も積極的な取り組みを始めている。少し前の事例となるが,例えば,2008年に実施されたサドンアタックの全国大会(WCGチャレンジ)では,「同一地域ユーザーが代表チームを応援する演出」を行った例がある。
 具体的には,優勝チームの賞品の一つに「代表チームの属する地域のネットカフェ特典を約1か月間強化する」という項目を設けたのだが,代表チームが優勝すると自分達も高い恩恵が得られるということで,応援する側にもより力が入り,結果としてこのイベントが各店舗内/地域間でのコミュニティ拡大の促進に繋がったのだ。実際,優勝チームが在籍した店舗地域の稼働率は高まり,そこで新たなコミュニティも生まれたという。

 このように,ネットカフェには実際の友達同士との連携プレイが楽しめたり,地域や店舗に属するコミュニティを作るなど,ローカルならではの強みがある。
 オンラインゲームというと,どうしてもネット上でのやりとり,コミュニティで完結しそうなものだが,「モンスターハンターポータブル」の爆発的ヒットが指し示すように,リアルコミュニケーションを交えた遊び方もまた,重要視すべき要素だろう。

 さて,これまで3回にわたってお届けしてきたこの「オンラインゲーム ネットカフェランキング」。情報が少ない日本のネットカフェ事情を届けるという趣旨で始めた本連載ではあったが,「ネットカフェにおけるオンラインゲームの流行の変遷」を取り上げた1回め,「オンラインゲームにおける無料体験プレイの意義とその変化」について触れた2回目共々,ネットカフェというものを通して見えてくる,オンラインゲームの可能性や魅力をお伝えできたのではないかと思う。
 オンラインゲーム業界の方々においては,これまでの記事が少しでも今後のゲーム運営やビジネスの参考になれば,これに勝る喜びはない。

サドンアタックの大会の様子
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