まずは,諸君がこれから飛ばす機体を見てもらおう。 European Air Warでは30機の航空機が登場し,そのうち20機に自ら搭乗,操縦することができる。この機体はQUICK STARTのデフォルト設定にもなっている米陸軍航空隊のP51Dマスタング,第二次大戦における最優秀戦闘機ともいわれる優れた機体だ。各部の造りは戦闘機によって多少異なるところもあるが,本フライトスクールは P51Dを教習機として使うので,十分に慣れておいてもらおう。
失速は速度が低下すると起きることは前に述べた通りだが,これ以外にも失速する場合がある。それはスティックを急激に引きすぎて迎角(進行方向と機体の向きのズレ。Angle Of Atackともいう)が大きくなり過ぎ,主翼から気流が剥がれてしまうケースだ。
原因はスティックを強く引きすぎるためであり,第0回で「アナログ入力デバイスが必須」といった理由もここにある。急旋回するためにはスティックを強く引かなくてはならないのだが,強く引きすぎてもダメで,失速する手前でとめておかなくてはならないのだ。
スティックを強く引きすぎて失速してしまった場合,そのままスピンというさらに困った現象に陥ることが多い。これは左右の主翼の片側だけ気流が剥がれ,もう片方は揚力を発生しているためにいつまでも機体がくるくる回りながらコントロール不能な状態が続く現象だ。日本語では片翼失速という。スピンからの回復手順は次の通り。
European Air Warでは,戦闘機は長時間フルスロットルで飛び続けるとエンジンがオーバーヒートする。したがって巡航中は少し絞り気味のスロットルで飛び,フルスロットルは空戦のときに備えてとっておく。また,空戦中でも余裕のあるときはマメにエンジン温度をチェックし,レッドゾーンに入りそうなときは戦場から離脱することも必要だ。
いったん上がったエンジン温度は回転を下げて飛んでいるうちにまた下がってくるが,レッドゾーンに突入してもフルスロットルを続けているとエンジンが壊れてしまう。敵地の上空でエンジンが壊れれば帰投できなくなるので,エンジン温度は重要チェック項目だ。